国会報告 その179(2004.03.01発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております



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国会報告(2/23〜2/29)


■児童虐待防止法改正案(民主党案)発表




ここのところかなりのエネルギーを割いて議員立法作業に取り組んできま したが、ようやく、2月25日、「次の内閣」の承認を得て、児童虐待防 止法改正案(民主党案)を記者発表しました。

民主党案の特徴はいくつかありますが、

●再発防止に向けての家庭裁判所が関与するようにする。つまり、施設入所措置を解除して親元に戻す場合、家庭裁判所の関与のもと、一定期間の観察・支援期間を設ける。
●子どもが良好な家庭的環境で育つこと(生みの親に必ずしもこだわらず、里親や小規模ホームも含む)を最優先にすること。
●子どもの一時保護ができない場合に裁判所に申し立てて「人身保護法」の適用をすること(令状を得て家庭内への立ち入りができる)。
●虐待の通告があった場合、48時間以内に子どもの安全確認をすること。
●虐待を受けた子どもへのケアや虐待をした親への指導のあり方などについての調査研究を行う。
●親権の一部停止・一時停止の規定を設ける。
●内閣府に児童虐待防止会議を置く(経済財政諮問会議と同列のもの。省庁の縦割り行政を排する)など、民主党らしい改正点を盛り込んであります。今後の与野党協議へのご支援をお願いいたします。




■青少年問題特別委員会で質問しました



2月27日、青少年問題特別委員会で青少年育成担当特命大臣である小野 清子氏に質問しました。

詳しくは後日議事録でご確認いただきたいと思いますが、小野大臣にはち ょっと呆れてしまいました。問題のある答弁を繰り返すたびに、内閣府の 役人が駆け寄って答弁を修正させる、というようなことが度々でした。
与党の議員も苦笑していました。

これは、小野さんの資質の問題という以上に、国家公安委員会・青少年育 成及び少子化対策・食品安全と、一人の大臣が三つもの領域を担当してい る、ということに問題がありそうです。
特に、青少年育成及び少子化対策については、私が従来から主張している ように、独立した大臣が専念すべきことです。

全体として、省庁再編のときに、縦割り行政の弊害を排して内閣の意思を 実現するために役割を強化された内閣府が、実際にそのようには機能して いないということが改めて明らかになりました。

「旧総理府のようにホチキス官庁(省庁を束ねる事務作業しかしていない という意味)と呼ばれないように」と嫌味を言わなければならないほどで した。

イギリスには「虐待の経済学」というのがあるそうですが、子どもをちゃ んと育てておかないと、将来大変大きなツケを払わされることになります。
本来、子どもの問題は人権問題なのですが、経済という側面から見ても、 児童福祉施設などへの投資は、有効な先行投資と考えられます。

「待機児童ゼロ作戦」だけではなく、「被虐待児ゼロ作戦」を、数値目標 を立てて作らなければならない、ということを訴えました。



■連合2004年パート・契約労働者の集い



2月24日、女性と仕事の未来館で開かれた、連合主催のシンポジウムに 民主党代表として出席しました。他には、公明党の政調副会長福島豊議員、 社民党の福島瑞穂党首が出席されました。
パート労働者等の均等待遇法制化と厚生年金適用拡大について、民主党の 現状と方向性を説明し、連合の皆さんと共闘していくことを約束しました。



■アナン国連事務総長の演説・会談



2月24日、アナン国連事務総長の演説が国会で行われました。
イラク戦争そのものに国連事務総長がお墨付きを与えたかのような報道が 一部にありますが、それは間違っています。
アナン事務総長とは菅直人代表も会談をしていますので、以下、代表の定 例会見から抜粋します。

(前略)アナン事務総長と会談して参りました。特に、国会での演説での 「イラクの戦争前にどんな意見を持っていた人でも、平和なイラクを作る ことについては、共通の利益であるから支援をしていこう」という呼びか けや、あるいは「一部困難な議論を経て、人道支援をするためにサマワに 自衛隊を派遣されました」という話について、私のほうから少し民主党の 考えを最初に説明し、意見を求めたところです。まず民主党としては、ア ナンさんの考えに賛成だということを申し上げました。

わが党は人道支援、復興支援には、資金的にも、条件付きではありますが 人的にも貢献を行うことに賛成している。ただ戦争そのものは、査察継続 が行われるべきで、やるべきでなかったと。このあたりについては、アナ ン事務総長も同じ意見だと思いますが、と私からは申し上げました。
アナンさんからはその通りだと、自分はイラク戦争そのものには反対だっ たし、一貫して反対してきたということを明確に言われました。

また、自衛隊の派遣についても、わが党としては、非戦闘地域というフィ クションの下で送るということについては反対していると、将来イラク人 による政府が出来、国連の要請がきちんとあった場合には、PKO活動の拡大 といったような観点から自衛隊を派遣することがあってもよいとしても、 今のイラク特措法に基づく派遣には反対をしているのだということも説明 しました。

それに対してもアナンさんは、そういった意見は現在、イラクに軍隊を派 遣していない多くの国の意見と共通で、理解できるという姿勢を示されま した。その上で、6月30日にイラク人による政権への権限委譲ができた後に は、イラクに軍隊を送っていない多くの国からも送る国がもっと出てくる 可能性がある、という言い方の中で、わが党の主張についても、そのよう な国々と同じで理解できるというニュアンスの話しをされました。
その上でもちろん、やはり治安の回復というものがいろんな意味で必要だ ということも併せて言われました。(後略)



■コミュニティスクール




2月24日、今国会にコミュニティスクールの法案が提出されることを踏 まえて、民主党のコミュニティスクールワーキングチームで慶応大学の金 子郁容先生から改めてお話をうかがいました。

コミュニティスクールとは、自治体が設置し、地域のニーズに基づいて、 地域コミュニティが運営する新しいタイプの公立学校のことを言います。
教員採用、予算使途、教育課程などの決定が学校と地域学校協議会に権限 移譲されますので、文部科学省 ― 教育委員会、という縦割りの悪名高 き教育行政にとっては、画期的な転換ということになります。

今国会では、ようやくコミュニティスクールの法案が審議されるわけです が、政府・与党まかせにしておくと内容が骨抜きになってしまって肝心の ことが達成できなくなるのではないか、ということが今の一番の懸念材料 です。
法案を骨抜きにしないためのポイントは人事権にありますが、地域学校協 議会が人事権を獲得することによって、地域の力がついていきます。
コミュニティスクールは、地域と日本の再生のために大きな可能性を持っ ているというのは確かだと思っています。



■天木直人氏の講演



2月26日、「さらば外務省」の著者である天木直人氏に、国会内で講演 していただきました。30年以上外務省に勤めてこられた天木氏ならでは の「今は小泉首相の保身のために日本の外交が食い物にされている」とい う認識は、本当に説得力がありました。






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