国会報告 その176(2004.02.09発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております

国会報告 バックナンバー|HOME

国会報告(2/2〜2/8)


■児童虐待防止法の改正




〇親権について法務省からヒアリング

1月30日に法務省の方に来室してもらい、懸案事項について ヒアリングをした。

私たちは、「親権の柔軟で多様な制限のあり方」ということを 法改正の一つの大きな柱として掲げてきた。ところが、超党派 での話し合いを続けてくる中で、法務省がどうしてもこの点に 対して拒否的だということで、今のままだと法改正に盛り込む ことができないようだ。
法務省は、親権喪失規定を適切に活用すれば良いし、それは児 童虐待防止法にも規定されており、実際に申し立て件数も増え ているはずだ、と言う。


〇同じく、最高裁判所からヒアリング

この点は、2月3日に最高裁判所からヒアリングして、間違い であることが明らかになった。
法務省の説明とは異なり、親権喪失の件数は、児童虐待防止法 の施行前後で変化していない(さらに、法務省の人が喪失件数 として教えてくれた130件という数字は、喪失件数ではなく、 受件件数。認められたのは17件のみ)。

また、親権の喪失と、その取り消し(つまり親権の回復)が合 計件数として集計されているために、喪失何件、回復何件、と いうふうにデータを押さえることができない。
さらに、親権喪失の申し立てのうち何件が虐待によるものかも データとして得ることができない。
児童虐待防止法の第15条では、親権喪失の制度の適切な運用 が規定されているのに、それを確認するための前提も作れてい ないというのは行政不作為とも言えるのではないか。


〇現行法では、親から引き離して施設に入所させるためには家裁 の承認が必要だが、子どもを親元に返すときには家裁の関わりがない

虐待によって親子が分離されて施設への入所措置がされる場合 には、面会権や通信権の制限が可能となり、事実上親権の一部 制限と同じことが行われるのは、確かに法務省の言うとおりだ。
でも、親の意思に反して入所措置をとるためには家裁の関与が 可能だが、この措置が解除されるときには家裁の承認は必要な いことになっている。
このため、親がとりあえず「いい親」になったふりをして (自分でもそう思い込むことも多いのだが)、あるいは、恫喝 などをして、子どもを無理やり連れ帰ることが事態を悪化させ る。

実態としては、入所措置が解除された後、転居や非協力などに よって連絡がとれなくなってしまい、虐待が密室の中で再発し て最悪の場合には子どもが命を落とす、ということにもなって しまう。これは、制度を変えて防ごうと思えば防げる虐待であ ると言える。

これらの事情を考えて、入所措置の解除にも家裁の承認を必要 とすること、そしてそこにフォローアップの条件をつけること (定期的な出頭、あるいは、入所措置解除後は、虐待の疑いが 濃厚ということではなくても、連絡がとれなくなったという程 度の要件で家庭裁判所に申し立てをすることができる、あるい は、保護観察所で経過観察をする、など)、という点を何とか 確保できないだろうか。

この点を、2月4日に行われた民主党の子ども政策会議でも 提案した。


〇現行法では、親が同意して施設入所した場合には、面会権や 通信権の制限もできないし、親が子どもを無理やり連れ帰る ときに止めることができない

面会権や通信権の制限は、あくまでも、親の同意が得られない ときに家裁が関与して施設入所させるときに得られるものだ。
したがって、親が同意して施設入所となる場合には、面会や通 信も制限できないし、親が子どもを退所させたいと希望すれば、 それをとどめることは法的にできない。

これも大きな問題で、親が適切でない時期に無理やり連れ帰っ てしまって、それが虐待の再発につながっていくというパター ンをとることも珍しくない。

親が同意して施設に入所しているときにも、必要な場合には、 面会や通信を制限したり、退所を制限できる、という法改正は、 今までも超党派の話し合いの場で実現に向けて取り組んできた ことだ。でも、その根拠をどうするかということについて、与 党側も壁にぶつかっているらしい。

親が子どもにとってよくないことを強要する、というのは新た な虐待発生と捉えることができるはずだから、一時保護の考え 方を活用して、それらを制限する方法を法的に確立することが できると私は考えているので、その旨を与党の議員に話して検 討してもらっている。

今後、いよいよ法改正に向けての大詰めに入るため、民主党内 に児童虐待防止法改正チームを作ることになった。
私ももちろん加えていただく。




■岸和田児童虐待事件について、青少年問題特別委員会視察




2月6日、青少年問題特別委員会で、岸和田事件についての視 察を行った。視察というのだから当然現地を見に行くものであ るはずだが、委員部を通して提示された視察案は、新大阪駅す ぐ近くのホテルの一室で関係者から話を聞くというもの。

昨年6月にやはり委員会視察を行ったときには、私は野党筆頭 理事だったが、当初、委員部から提示された視察案は、やはり 「できるだけ議員を一部屋に封じ込めておく」という雰囲気の ものだった。だが、当時は、私の地元・宇都宮での視察だった ということもあり、私が地元情報を駆使して交渉を突破し、国 会の視察として初めて自立援助ホームを訪ねる、ということが 実現した。

今回は、かなり文部科学省の横やりがあったようで、与党側の 理事は最後まで首を縦に振らなかったそうだ。

〇やむを得ず、朝一番の飛行機で先行して民主党単独の現地視察

仕方がないので、私たち民主党委員は、正式の視察の前に、現場 の視察をすることにした。朝7時の飛行機に乗って岸和田に行き、 岸和田子ども家庭センター(児童相談所)で直接話を伺った後、 被害児童が通っていた岸城中学校、虐待が行われていたマンショ ンなどを視察した。ここで、本音の話を聞くことができた。

12時20分から、新大阪駅近くのホテルにて、他党の委員の 方たちと合流して委員会としての視察。
いろいろな話をうかがったが、午前中に聞いた話と総合して考 えると、つまりは学校から児童相談所への通報のあり方に問題 があった、ということなのだと思う。

教育委員会が書いた文書には、「担任及び生徒指導主事は虐待 の疑いを持ち、子ども家庭センターの担当者に相談したが、明 確な通告ととらえてもらうに至らなかった」と書いてある。
でも、この「相談」は、問題行動を起こしていた弟が主役で、 被害児童はその家庭環境の一部として説明されたというのが事 実のようだ。被害児童本人のことを「虐待の恐れあり」と通告 していたら、こんなに最悪の事態にはならなかったはずだ。

また、学校側があくまでも「通告」したのだと思っているのな ら、なぜ教育委員会に報告していなかったのか、さらに、その 後事件まで7ヶ月間も対応をフォローアップしなかったのか、 ということも疑問だ。

報道では、「学校が通告したのに児童相談所が動かなかった」 というような論調になっているが、実際に通告は行われてい なかったと言われても無理のない内容だ。



■宇治小学校傷害事件について




2月3日、宇治小学校PTA会長の平田研一氏(宇治市議会議 員:民主党)、文部科学省からヒアリング。
昨年の12月18日、学校に刃物を持った不審者が侵入して 1年生の男の子2名が切り傷を負った事件であるが、ここのと ころの治安の悪化を受けて、学校がねらわれる事件が相次いで いる。
外部の者が学校に侵入した事件は、2002年には2168件 と、1999年の1042件と比べて2倍を超える状況にある。

警察との連携、学童の問題(厚生労働省)など、文部科学省が もっとも苦手とする他省庁との連携が問われている。



■総合雇用対策特別政策会議



今国会に政府が提出を予定している法案について、連合の皆さん をお招きしてご意見や問題点をうかがった。今国会は、年金審議 という大きな山があるため、その他の法案の審議のタイミングや 時間のかけ方については大変高度な判断が要求される。

なお、総合雇用対策特別政策会議は、毎週木曜日朝8時の定例会 議だが、この時間枠だけでは、政府提出法案への対応(どこを修 正させるか、などかなり現実的な話)に終始してしまいかねない。
本来、政党というのは、政府の修正機関にとどまるものではなく、 今後進むべき雇用政策のグランドデザインを示すところに大きな 役割があると私は考えている。このため、これからは、別の時間 枠で、政策の根本にかかわるような大きなテーマを検討していく 場を設けていくことを計画しているところである。
幸い、協力していただけそうな講師の方たちも見つかりつつある。



■鳥インフルエンザについて




2月4日、厚生労働部門会議と医療問題プロジェクトチームの合 同会議として、国立感染症研究所の田代眞人先生をお招きして、 鳥インフルエンザ問題についてうかがう。
鳥インフルエンザについては、政治的にきちんと議論をしておく ことが必要だ。すでに、農林水産の領域では問題になっているわ けだが、ヒトインフルエンザウイルスと交雑して新型ウイルスに なってしまうと、爆発的な流行をして多くの人の命を奪う可能性 がある(過去のスペインかぜなどがこれに当たる)。
そうならないようにするためには、人に感染しないように、ウイ ルスが飛散することを防ぐ必要がある。

また、万一に備えて、新型インフルエンザの爆発的な流行を呼ぶ ことがあったときのワクチン生産体制や治療体制を考えておかな ければならない。



■講演のお知らせ




第2回 市民公開講座「漢方で元気」
日 時 : 平成16年2月11日(水)祝日 午後2時〜
会 場 : 栃木県総合文化センター サブホール 
      (定員400名)
宇都宮市本町1番8号 (栃木県庁前) 入場は無料です。

第一部:講演1.「便秘と下痢と腹痛と」
           戸村光宏 (栃木県保険医協会会長)
      2.「肩こりと腰痛」 
           北島敏光 (獨協医科大学麻酔科教授)
      3.「アトピー性皮膚炎」
           二宮文乃 (静岡県アオキクリニック院長)

第二部:特別講演「心のケアと漢方」 
           水島広子 (衆議院議員・精神科医)

第三部:漢方相談 市民の皆様からのご質問にお答えします                                

参加ご希望の方は、ハガキまたはFAXで、住所、氏名に、 「漢方で元気」聴講希望と明記し、下記・事務局までお送り下 さい。聴講券をお送りします。
なお、漢方相談ご希望の方は、漢方相談と併記し、相談内容を 明記して下さい。
当日、会場で時間の許すかぎり、一般的なかたちで回答させて 頂く予定です。

★ハガキ宛先★
  〒 329-276 那須郡西那須野町井口537-3
(事務局)  国際医療福祉病院 麻酔科内「漢方で元気」宛て
★FAX★
0287-39-3001

なお、いきなり当日こられても入場はできると思います。
是非お立ち寄りください。

主催:日本東洋医学会関東甲信越支部・栃木県部会
後援:宇都宮市 栃木県
下野新聞社 栃木放送 とちぎテレビ
宇都宮市医師会 栃木県医師会 栃木県保険医協会、
栃木県薬剤師会 栃木県病院薬剤師会
自治医科大学東洋医学研究会 国際医療福祉大学漢方医学研究会






国会報告 バックナンバー|HOME