国会報告 その173(2004.1.19発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております


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国会報告


■1月13日 民主党大会開かれる




来賓として連合の笹森会長とドトールコーヒーの鳥羽社長が出席され、大 きな議案としては、代表選挙の規則が改正された。

党大会については、また紙面の余裕があるときに改めてご説明したいが、 菅代表が挨拶の中で提起した、「日本が参考にすべき伝統とは、明治維新 後の神道イデオロギー、天皇中心の中央集権国家、大量生産、大量消費、 大量廃棄の生活スタイルではなく、その前の江戸時代の、地産地消の 「スローライフ」と呼ぶべき生活スタイルにあるのではないか」という点 には私も全く同感。

「次の内閣」で民主党の予算案編成が始まっているが、どうすればこうい った哲学を予算案に反映させられるか、私も「次の内閣」の一閣僚として 考えている。

良いお知恵がありましたらお知らせください。




■足銀問題



1月14日には衆議院で、15日には参議院で、財務金融委員会の閉会中 審査が開かれ、足利銀行元頭取の日向野善明氏、中央青山監査法人理事長 上野紘志氏を招いての参考人質疑が行われた。

私たち栃木県選出国会議員団(簗瀬進参議院議員、山岡賢次衆議院議員、 谷博之参議院議員、私)は、昨年の12月24日に、竹中平蔵大臣に質問 状を提出し、1月13日を回答期限としていた。参考人質疑を行うために も、政府の見解をあらかじめ質しておく必要があると考えたからである。

ところが、結局、回答が出てきたのは1月16日。財務金融委員会の審査 がすっかり終わったタイミングだった。回答もかなり無責任なものである。

ご関心の高い方も多いと思うので、以下に全文をお示しする(カッコ書き 部分は除く)。わかりやすいように、質問と回答を問題ごとに記す。



1.金融庁は、足利銀行は2003年3月期において債務超過であったと 認定した。従って、金融庁は、同行の2003年3月期決算は粉飾である と認定すべきではないか。

【竹中大臣回答】
株式会社足利銀行(以下「足利銀行」という。)に対する検査結果では、 平成十五年三月期において債務超過であったとしているが、金融機関に対 する検査は、粉飾決算などの犯罪捜査を目的とするものではなく、あくま でも銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保することを目的として行われ るものであり、証券取引法が目的とする投資家保護とは趣旨が異なるもの である。
足利銀行は、平成十五年三月に株式会社あしぎんフィナンシャルグループ の完全子会社となったことに伴い、同年六月証券取引法第二十四条第一項 の規定による有価証券報告書の提出免除承認を受けたことから、平成十五 年三月期の有価証券報告書は提出しておらず、当局として、証券取引法上、 足利銀行の平成十五年三月期の決算書類に対する権限は有していない。
なお、足利銀行の親会社である株式会社あしぎんフィナンシャルグループ が提出している有価証券報告書については、足利銀行以外の会社も連結の 対象として含まれており、商法等の規定に基づく取締役会の承認、独立し た会計監査人による監査を経て、定時株主総会に報告された決算に基づい て提出されたものであり、仮に、同社の有価証券報告書において、重要な 事項について虚偽の記載が判明した場合には、法令に則り、適切に対処し てまいりたい。




2.金融庁が1のような認定をすれば、同行役員及び中央青山監査法人は、 証券取引法第21条1項により株主等に損害賠償責任を負うことになると 考えるがどうか。

【竹中大臣回答】
一般論として申し上げれば、証券取引法第二十二条第一項及び第二十四条 の四の規定により、重要な事項につき虚偽のある有価証券報告書を提出し た経営者については、有価証券を取得した者に対し、民事上の責任を負う こととされており、重要な事項につき虚偽のある財務諸表を故意又は過失 により虚偽のないものとして証明した公認会計士又は監査法人についても、 民事上の責任を負うこととなる。





3.竹中大臣は、足利銀行を「特殊な銀行」と呼び、以前から重大な問題 を抱えていたことを十分認識していたと見受けられる。にもかかわらず、 金融庁は、2年以上も検査を実施しなかったばかりか、2002年1月に は第三者割当増資99億円の実施を容認し、2003年1月には持株会社 の設立を認可した。
同行支援のために出資を行った地元自治体や一般投資家は、金融庁が同行 の経営内容に「お墨付き」を与えていたからこそ増資引き受けに応じたの であり、従って金融庁の責任は極めて重大である。この間に、同行支援の ために出資依頼に応じ、今回の措置の結果多大の損失をこうむった法人及 び個人の、いわゆる「善意の出資者」に対し、その損失を補填するための 間接直接の措置を講ずるのが、行政当局の当然の責務と考えるが、自らの 責任をどのように受け止め、具体的にどう責任をとるのか、見解を問う。

【竹中大臣回答】
足利銀行に関しては、平成十一年九月の金融機能の早期健全化のための緊 急措置に関する法律に基づく公的資本増強以降、経営健全化計画の履行状 況のフォローアップを行うとともに、経営上の諸リスクへの対応等につい て、十四回の報告徴求及び一回の業務改善命令を実施する等の対応を行っ てきたところである。また、検査については、地域銀行に対する検査周期 は平均で二年七ヶ月となっているが、先般の足利銀行に対する検査周期は 二年三ヶ月で検査を実施したところである。このように足利銀行に対して は、銀行法等に則り、厳正な検査・監督に努めてきたところである。
なお、増資については、銀行法の認可事項ではなく、届出事項とされてい ることから、一般に金融機関の自主的な経営判断と責任において監査法人 や弁護士と協議の上、適切に行われるべきものと考えている。また、銀行 持株会社の設立に関しても、銀行法第五十二条の十八の規定に基づき、厳 正な審査を行い認可を行ったものである。
今般の破綻に伴い、株式会社あしぎんフィナンシャルグループの株式が実 質的に無価値化することとなった自体は、株主のご心情に鑑みれば極めて 遺憾であるが、株式は資本であり債務でないことから、預金保険法上保護 の対象にならないこととなる。
当庁としては、特別危機管理開始決定当日、足利銀行に対し、円滑な資金 提供等を含む業務適正化命令を発出し、さらに、債権管理・回収に当たっ ては、個々の債務者の実情に応じたきめ細かな対応に努めることとし、今 般の特別危機管理開始決定に伴い毀損した株式を保有する債務者に対して は、特に配慮するように、徹底しているところである。
なお、昨年十二月十二日に「足利銀行の特別危機管理開始決定に伴う対応 に関する関係省庁等連絡会議」において、株式会社あしぎんフィナンシャ ルグループ株主を含む借り手に関する対応を含め中小企業等への資金供給 の円滑化に関して、関係省庁等が講じている施策を取りまとめ、公表した ところである。




4.足利銀行は、多くの県内中小企業に事業資金を供給しており、今後の 経営姿勢は県経済に極めて大きな影響を及ぼす。現下の経済情勢にかんが みれば、銀行全体として急激な資産圧縮を行うべきではないことは言うま でもない。個別企業について、経営に問題はあるが破綻懸念までには至ら ない要注意先中小企業については、3年程度の間、できる限り取引を維持 し、性急な回収を行うべきではないと考える。また、破綻懸念先中小企業 についても、最終処理は急がず、3年程度の猶予期間を設けるべきだと考 えるが、見解を問う。

【竹中大臣回答】
足利銀行については、引き続き地域に円滑な資金供給が行われるよう、昨 年十一月二十九日に、銀行法第二十六条第一項の規定に基づき、業務適正 化命令を発出し、その中で、

一 預金者及び取引先との取引において支障が生じないよう万全を期すこと
二 善意かつ健全な借り手に対して円滑な資金供給を図るよう配意すること
を命じたところである。

また、足利銀行の新経営陣に対しては、適切な業務運営を確保しつつ、健 全化に向けて経営改革を進めるとともに、地域金融の円滑化、中小企業等 の再生に積極的に取り組むよう求めているところであり、足利銀行におけ る個々の債務者の取扱いについても、その実情に応じて極力再生に努める こととなる。




5.足利銀行の今後の処理方針について、優良債権は新銀行を設立してそ こに譲渡し、速やかに健全銀行として再生、要注意先及び破綻懸念先中小 企業は足利銀行本体に残し、3年程度の時間をかけて中小企業融資専門銀 行として再生すべきであると考えるが、見解を問う。また、将来的にはり そな銀行等も含めた中小企業融資専門銀行の受け皿として再編成すること も検討すべきであると考えるが、見解を問う。




6.上記4によらずに長銀方式で営業譲渡する場合は、3年程度の時間を かけて譲渡先を選定すべきであると考える。また、譲渡先の選定に当たっ ては、外資の投資ファンドに売り急ぐことは、中小企業の性急な整理を招 くことになりかねず、絶対に避けるべきであると考えるが、見解を問う。

【竹中大臣回答】
預金保険法第百二十条第一項は、できる限り早期に第三号措置を終えるも のと規定しているが、具体的な終了事由としては、

一 当該特別危機管理銀行と合併する金融機関が存続する合併
二 当該特別危機管理銀行と他の金融機関が合併して金融機関を設立する 合併
三 当該特別危機管理銀行の営業の譲渡
四 当該特別危機管理銀行の株式の譲渡

が列挙されている。
第三号措置の終了が、いつ、どのような形になるのかについて、現時点で 確たることを申し上げることは困難であるが、同法に従って適切に対応し たい。







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