国会報告 その151(2003.7.14発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(7/06〜7/12)


★国会報告 7月6日(日)〜7月12日(土)



◆鴻池大臣発言



長崎市で4歳の種元駿ちゃんが誘拐・殺害された痛ましい事件について、 政府の青少年担当大臣となった鴻池氏が、7月11日に「(罪を犯した少 年の)親は市中引き回しのうえ打ち首にすればいい」「(マスコミは被害 者の)ひつぎの(傍らの)両親ばかり映し、犯罪者の親を映していない。 14歳未満の子は犯罪者として扱われないんだから、保護者である親、 (学校の)担任、校長先生、全部前に出てくるべきだ」などと述べた問題 を、深刻に捉えています。

12歳の子が4歳の子の命を奪う、という事件そのものによるショックも 新たなうちに、「政治家がこんな程度だから痛ましい事件が起こったのだ」 というメッセージを与えられ、傷口に塩をすりこまれたような気持ちです。
閉塞的な子育て環境の中、明らかに子どもたちに変化が生じてきていると いうことを私も感じています。地域における親の活動範囲の狭まりに応じ る形で、子どもたちの心の成長を支える対人交流も極端に減ってきていま す。

今回の事件については、詳細の解明を待たなければなりませんが、もうそ ろそろ、あらゆる大人が、それぞれの立場を乗り越えて、現在子どもが置 かれている状況を虚心坦懐に見つめなおす必要があるのではないでしょう か。
私も、自分にできることをさらに考えてみたいと思っています。

実は、青少年問題の担当大臣は今までは福田官房長官だったのですが、6 月中旬に鴻池大臣になったということが聞かされ、7月17日に鴻池大臣 に代わってはじめての対政府質疑が行われる予定になっています。とりあ えずは、青少年問題特別委員会の野党筆頭理事として、こんな人を担当大 臣とは認められない、ということを主張していきたいと思っています。

また、太田誠一議員に始まる一連の性犯罪正当化発言がそのまま容認され てしまっているのも重大な問題です。
フィリピン人の友人などから、「どうして日本の女性は黙っているのです か」というメッセージが届いています。



◆心神喪失者医療観察法案と木村副大臣問題



7月8日(火)、法務委員会で、参議院から戻ってきた心神喪失者医療観 察法案の採決が行われました。
そして、その前段に、一般質疑が行われま した。本来は法案審議という形をとりたかったのですが、木村副大臣問題 と絡めて問題を追求されることを恐れた与党が、法案採決と質疑を切り離 すという形に落ち着いたようです(本当は、この法案が衆議院を通過した のは前国会ですので、衆議院でもう一度審議するという仕組みになってい るはずなのです)。

前段の審議は「一般質疑」という形ではありましたが、内容はまさに木村 問題に終始した格好となりました。
そもそも、場が法務委員会であるので、厚生労働省からは大臣ではなく担 当副大臣である木村氏が答弁に来られたというのも、まさに「飛んで火に 入る・・・」という状態だったのです。

この法案に関しては、「金で買われた法案」という疑いがかかっています。 もちろん、私を含めて、審議に参加していた議員は、熱心に取り組んでま いりました。
ところが、木村副大臣が、この法案の成立を約束する見返りに多額の献金 を関連団体から受け取っていたという疑いが浮上してきたため、まじめに 議論してきた私たちは非常に強い憤りを感じているのです。

木村問題については、参議院でもさんざん取り上げられてきました。 そのときの答弁も不誠実でしたし、今日の答弁もまたひどいものでした。

国務大臣・副大臣・政務官服務規定には、「職務に関連する贈り物を受け てはならない」という項目があります。今回の献金がこれにあたる可能性 があるのではないか、と考えなかったのか、といくら聞かれても、木村副 大臣は、
「政治献金は政治家の活動として認められている」という答弁を繰り返す のみでした。また、献金を、誰が、どういう形で受け取ったのかというこ とを聞かれても、「そのようなことは、政治資金規制法で報告義務がない。 自分は政治資金規制法にのっとって適切な処理をした」という答弁を繰り 返すのみでした。

こんな答弁が放置されるようでは、とても子どものしつけなどできない、 とぼやくと、野党のみならず、与党の議員、官僚の方たちも苦笑していま した。

暴力団問題、木村問題、と「そのまま」になっている問題が多すぎます。



◆青少年問題特別委員会視察地が宇都宮に決定



7月8日の理事懇談会で、先日与野党の筆頭間で行った協議の結果を踏ま えて、7月14日の視察の日程が決まりました。
当初、与党側では「視察は東京で」という意向を示していましたが、法律 という全国一律に適用されるものを考えるというのに、東京という一種の 「先進自治体」しか見ないということに異議を唱えてまいりました。
その 努力が実り、自分の地元でもある宇都宮で視察を行うことができるように なりました。

宇都宮では、中央児童相談所、児童擁護施設、自立援助ホームを視察する 予定です。



◆県執行部・県議会と県選出国会議員の懇談会



7月9日(水)の朝7時半から、恒例の懇談会が開かれました。

従来は、国会議員が県政についての質問や要望をする、というような形で 行われていました。私が初めて子ども病院の話題を出したのも、この場で した(前知事時代)。
ところが前回は、自民党の県議が自民党の国会議員に質問する、というよ うな形がとられ、なぜ県の税金を使って開くのかがわからない、という批 判がありました。今回は起動修正されたようで、県から国への要望をまず 聞き、国会議員が県政に関係のあるどんな活動をしているか、という報告 をする、という形で行われました。

私は、自分の活動を紹介し、県からの要望とほぼ同じ内容なので、追い風 になってありがたいということを話しました。また、地域の金融を円滑化 して、中小企業を救うために、栃木県議会でも、民主党の金融アセスメン ト法案の成立決議をしてほしいという要望をしました。

それにしても、このような席ではいつも違和感を感じるのですが、地方分 権を一生懸命訴えられている地方議員の方たちは、なぜ自民党にとどまる のでしょうか。地方分権が本当に進めば、利権がなくなり、族議員の存在 価値がなくなるため、自民党の存在理由がなくなります。自民党政権であ る限り地方分権が本格的に進むわけはない、というのは、ちょっと理屈を 考えればわかることです。
「地方分権」を訴えるエネルギーは、そのまま「政権交代」を訴えるエネ ルギーになるものだと思うのですが。



◆仕事と家庭の両立支援法案(改正版)が、党内手続きを終えました



7月9日(水)に、厚生労働部門会議、「次の内閣」閣議で、それぞれ、 仕事と家庭の両立支援法案の説明をし、了解を得ることができました。
2001年提出時と同じく、育児休業の分割取得、パパ・クオータ制、子 どもの看護休暇の請求権化、などの特徴はそのままですが、今回、有期雇 用者(契約社員)の方も育児休業を取れるように微修正をした改正版を作 りました。
党内の手続きが終わったので、あとは提出するだけです。



◆性同一性障害の性別変更法が成立しました



7月9日の衆議院法務委員会で可決され、7月10日の衆議院本会議で、 「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律案」が全会一致で 可決されました。
性同一性障害の方の戸籍性を変更できるというこの法案は、従来より必要 性が訴えられてきたものですし、今回の法成立によって多くの方にプラス になるでしょう。

私もうれしく思っている一人ですが、今回成立したものには、重大な問題 がひとつ含まれてしまっています。
それは、性別の取り扱いの変更には5つの条件を同時に満たしている必要 がある、としている部分です。

1.20歳以上であること
2.現に婚姻をしていないこと
3.現に子がいないこと
4.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
5.その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外 観を備えていること
これらの条件を満たす人が、2名以上の医師によって一致して「性同一性 障害」と診断される場合には、家庭裁判所に戸籍上の性別変更の申請をす ることができる、という仕組みになっています。

現に子どもを持っている性同一性障害の方たちを切り捨てる内容になって いますし、同時に、「障害者はタネを残してはならない」というふうにも 読み取れる内容です。

最後まで問題になった部分ですが、今回は、法案の付則に「3年後の見直 し規定」(性別の取り扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一 性障害者の範囲その他性別のとり圧秋の変更の審判の制度については、こ の法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況、性同一性障害 者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があ ると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとす る。)を盛り込むことで決着しました。

同様の悩みはしばしば抱えるのですが、やはり、もめている間に3年たっ てしまうということを考えると、まずは法律を作ってから見直す、という パターンをとるほうがよほど現実的で実が取れるということは、私が議員 になって悟ったことのひとつです。



◆憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会で質問しました



7月10日(木)、社会保障と憲法というテーマで参考人質疑を行いまし た。
参考人として、北海道大学長の中村睦男氏、東京学芸大学助教授の小塩隆 士氏が来られ、それぞれ、健保学者、経済学者としての立場からご意見を くださいました。

先日の森喜朗氏の「子どもも産んでいない女性が税金で面倒をみてくれと いうのは・・・」という発言に代表されるような暴言はしばしば聞かれま す。これらの発言は、憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低 限どの生活を営む権利を有する」(生存権)という条項に反するのではな いか、という私の質問には、同意していただけました。
子どもを何人産ん だかということとその人との生存権とは関係ない、ということです。

また、生存権と密接な関係にあるのが生活保護ですが、生活保護を受けよ うとすると窓口でさまざまな嫌味をいわれたり、人間としての尊厳を脅か されるような目にも遭うことがあります。
窓口で嫌味を言うエネルギーが あれば、それを就労支援などに向けるべきではないかと、勤労の権利とい う観点からも思いますが、その点についてももっと立法府ですべきことが あるのではないかという指摘にも同意していただきました。

その他、女性と年金、単身世帯の年金など、年金についても質問しました。

詳しくは後日議事録をご覧ください。



◆選択的別姓などについての参考人審議が行われることになりました



7月18日(金)の法務委員会で、形は「家族のあり方などをめぐって」 という一般的な形をとるようですが、参考人審議が行われることになりま した。
どうも、われわれが提案している民法改正案を審議するわけにもいかない、 でも、何もしないわけにもいかない、という中での妥協案のようです。
本当は法案審議とすべきだとは思いますが、何もしないよりは一歩前進で す。
私も参考人の推薦をさせていただきました。




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