国会報告(6/15〜6/21) |
■6月15日(日)〜21日(土) ◆会期延長問題をめぐって国会空転 会期末を翌日に控えた17日、与党3党は野党の反対を強引に押し切って、 国会の会期を「40日間」延長しました。 そもそも通常国会の会期は国会法という法律で150日間と決められてい ます。 特別な事情がない限り、法律で定められた日程内で審議を行うのが基本で す。 仮に、審議が終了しないときは、法案を継続審議とし、次の国会で引き続 き審議するのが通例です。 今回の場合はどうでしょうか。 与党は?政府提出法案で議了されていないものがある、?イラク復興支援 特別措置法案を成立させるため、と2つの理由をあげています。 ?については、審議未了の法案を継続審議とすることはよくあることです。 ?については、審議時間がほとんどない会期末ぎりぎりに、急遽国会に法 案を提出したもので、最初から充分な審議を行う姿勢がみられませんでし た。 本当に会期中に成立させたいのなら、もっと早く提出すべきだったのです。 自民党出身の綿貫衆議院議長が、会期延長を党利党略や政局がらみで行わ ないようにと、異例の伝達を行ったことからも、いかに今回の延長が自民 党内の政局に関わったものであるかがわかります。 小泉総理の発言も大変問題です。 会期延長に反対する野党について「審議拒否は支離滅裂」と総理が発言し たことに対し、衆議院の正副議長が福田官房長官を呼び、これまた異例の 厳重注意を行いました。 綿貫議長は、「野党は審議拒否していない。国会が努力しているのに評論 家みたいに口をはさむのは謹んでほしい」と総理に対し強い不快感を示し たと報じられています。 衆議院議長が総理の発言に注意を促すことは前代未聞です。議会制民主主 義を体現すべき立場の総理が立法府の長である議長から「注意」を受けた ということが、小泉政権のレベルを物語っているのではないでしょうか。 最終的には多数決の原理で延長が強行されましたが、この会期中に、景 気・経済対策、雇用問題をはじめ喫緊の課題についてきちんと審議できる よう、引き続き努力してまいりたいと思います。 ◆生保予定利率引き下げ 6月12日に「保険業法改正案」(生保予定利率引き下げ法案)が衆議院 を通過しました。 この法改正は、かなり多くの問題をはらんでいるにも関わらず、国民的な 議論が十分に行われないまま衆議院を通過してしまったという印象を持っ ています。 私は財務金融委員会に所属をしているわけではないので、自分自身の国会 報告において取り上げる機会がありませんでしたが、やはり見過ごせる問 題ではないので、ここで改めて述べさせていただきます。 今国会で、保険業法が改正されるのは二度目です。 なぜ一つの通常国会で、同じ法律の改正が2度に分けて行われるか、とい うと、単に統一地方選挙を意識した党利党略であると言えます。 生命保険の予定利率を引き下げるという大変な問題を、統一地方選挙の直 前に行ってしまうと、与党にとっては致命的なことにもなりかねません。 このため、保険業法の改正のうち、生保の予定利率引き下げ部分について は、統一地方選の後に見送られた、という経緯があります。政治というも のをはき違えた、大変ゆゆしき問題です。 生保の予定利率の引き下げは、憲法29条「財産権の保障」違反ではない かという指摘もありますが、十分に説明されていません。 生命保険とは、「死亡、入院などのある一定の条件になったら保険金を支 払う」という約束で成り立っている商品であり、この約束を勝手に変更す ることは、自動車の購入契約をした消費者に自転車を渡すようなものであ ると言えます。 保険金減額という実質的な債務不履行を政府が認める法律は、他の先進国 にはありません。 大手生保の全社が前期決算で黒字を計上し、ソルベンシーマージン比率 (生保会社の経営の健全性を示す指標。銀行の自己資本比率に相当)は健 全性の目安とされる200%をはるかに超えています。 政府は一貫して「現在の生保会社は全て健全であり、危機的な状況にはな い」と主張し、生保各社も「利率引き下げは求めない」と公言しています。 このような状況で、なぜ本法案が必要なのか、誰のための仕組みなのか、 全く説明がありません。 また、既存の生保破綻処理のスキームである更正特例法を適用すれば、処 理が裁判所関与の下で進み透明性が高いこと、基金が契約者保護に使われ ることなどから、「予定利率引き下げ」より国民全体にとって有利となる 可能性があることも指摘されています。 予定利率の引き下げにこだわるのは、政府のいう「契約者保護」との建前 とは異なり、当該生保と密接な関係にある銀行の救済を意図しているもの と言わざるを得ません。 銀行に対する影響を回避するため、本来破綻会社にしか許されない債務不 履行(=予定利率引き下げ)を行い、結局しわ寄せを受けるのは国民とい う構図なのです。 生保予定利率引き下げ法案は、当然であるべき情報公開も行わず、経営者 も政治行政も責任を明確にしないままに、国民の9割を超える生保契約者 にしわ寄せを押しつけるものです。 このような法案を国会に提出し、相も変わらず銀行救済に汲々とする小泉 内閣の本質は明らかだと思います。 ◆ 6月17日(火) TVタックル(6月30日放映分)の収録をしました テーマは有事法制でした。 今回、有事法制の修正案に「9割の国会議員が賛成した」ということに歴 史的な意味を見出したがる人も少なくありませんが、単に表面的な解釈だ けをしないでほしいということを説明しました。 つまり、必ずしも積極的賛成ばかりではなく、政府原案の致命的な欠陥を 修正するために野党第一党がとった選択肢として理解してほしい(つまり、 政府原案がそのまま成立していたら、日本は取り返しのつかない事態にな った)ということです。 「では、民主党としてはこの有事法制をどうしていくつもりですか」とい う質問を受けましたが、この有事法制がどのように運用されるかを左右す るのは国会の質であって、民意を反映させられる議員を増やすしかないと 思うことを話しました。 シビリアン=コントロール(いわゆる文民統制)を効かせるための立法論 は、国会承認という形をとらざるを得ません。 でも、その国会が信頼されていないではないか、と言われてしまうと、そ れは「法律の出来」というよりは、「政治の出来」ということになってしまいます。 このあたりに日本の政治の問題点が凝縮されているように思います。 「国連はだめだ」というような問題提起もいただきました。 でも、そう言うのは簡単だけれども、ではそれに代わる国際機関を誰がど ういうコストを負担して作るのか、という現実的な側面を考えなければな らないと思う、などと話しました。 また、今後の安全保障のあり方として、今現在も本質的な活動をしている NGOの方たちがもっと活動しやすい体制を作らなければならない、というこ とを話しました。 このほか、持論の集団安全保障体制についてもかなり説明しました。 放映は6月30日だそうです。どの部分がどのように放映されるかはわか りませんが・・・。 |