国会報告(5/11〜5/17) |
■5月11日(日) 地元日程。太極拳の大会や、地元のイベント、バザーなどに顔を出す。 ■5月12日(月) 7時45分から恒例のマンデーリポート。 9時半から事務所内打ち合わせ。 13時9分の新幹線で東京へ。 15時から、内閣府部門、市民・子ども部門、法務部門、総務部門の4部 門合同会議。例の「出会い系サイト規制法案」について、先週の「次の内 閣」で出された意見を踏まえて、再協議。月曜日の会議は変則的だが、委 員会日程が厳しくなってきたため、今日の設定となった。 月曜日ではあるが、多くの方が集まってくださり、合同部門会議の結論と しては、修正案提出、修正案が否決されたときには原案反対、という方針 が決められた。またこの結果を「次の内閣」に報告することになる。 会議終了後、明日の青少年問題特別委員会での質問に向けての質問取り。 質問内容が法務省や裁判所の領域に及ぶため、入れ替わり立ち替わり、バ タバタと遅くまで人がやってくる。 法務委員会の感覚で最高裁に質問しようと思ったら、何と、できないと言 う。三権分立なので、立法府は裁判所に対して質問する権利がないそうだ。 ではなぜ法務委員会では当然のように最高裁に質問をしているかと言うと、 法務委員会の特例であり、この場合も、「最高裁から説明の要求があった ためこれを認める」という形で、あくまでも最高裁の自発的な説明を認め る、というふうにしているそうだ。何度も最高裁に質問しておきながら、 こんな基本的なことを今日初めて知った。 それにしても、警察庁の質問取りは嫌な雰囲気だった。 「修正はいっさいいたしません」という言葉から始まり(そんなことを決 める権利は行政府にはないはずだ)、「なりすましの書き込みをされ、身 辺をかぎ回られて社会的な不利益を被ったらどうするのか」という質問を すると、「社会的な不利益って何ですか?」、例えば痴漢の冤罪で職を失 った人の話などをすると、「痴漢の摘発は被害者がやっていることで、警 察が冤罪を作り出しているのではありません」、それでも結果として不利 益を被っているではないかと言うと、「法律なんて完璧なものではないん です」。 先日の参考人の陳述に基づいて確認の質問をすると、「そもそも、そんな ことがあるんですか」と開き直る。 「あるかどうか知りませんが、参考人が委員会で陳述したことについて確 認するのは立法府として当然のことではないんですか」とこちらも開き直 ると、「そ、それはそうです」と小さな声。 すっかり消耗してしまった。 この後、法務省の人と話をしたら、もっと冷静に話ができたので落ち着い た。 ■5月13日(火) 党本部で8時から緊急事態法制についての全議員政策会議。 最後まで残れずに、10分間の距離を急いで歩き、8時50分から青少年 問題特別委員会理事会。 9時から青少年問題特別委員会。いわゆる「出会い系サイト規制法案」 (インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に 関する法律案)についての審議。 私は9時半から質問をした。 思った通り、というべきか、驚いたことに、というべきか、この法案の作 成に際して、警察庁は、出会い系サイトに書き込みをしたり、援助交際や 性的逸脱行為を繰り返したりする子どもたちについての実態調査をしてい ない。 立法の根拠としているのは、一般人を対象としたアンケート調査で、法的 規制の必要性を尋ねたもの。これは実は大問題だ。当事者とは関係のない 人たちの多くが「こういう法律が必要だ」と言えば立法されてしまうとい うのであれば、差別を正当化するような法律も簡単に作れてしまう。 また、アンケートは無作為抽出方式などではなく、ホームページに掲示さ れたものに自発的に答えを書いてきた人たちの回答をまとめたもの。法的 規制が必要だと考える人の方が多く答える、というバイアスがかかって当 然だろう。学術論文を書いたらすぐにはねられてしまうのではないだろう か。 児童買春の被害者を罰してはいけないというストックホルム宣言は、途上 国などで貧困のために売春を余儀なくされている子どもたちに配慮しての ものであって、日本で積極的に出会い系サイトに書き込んだりする子ども たちは別格だということをどうやら政府(+一部の議員)は言いたいらし い。でも、自分が傷つくとわかっていながら売春を繰り返す子どもたちの 実態がどうなっているのか、ということも研究せずに、別格と決めつける ことはあまりにもおかしい。 実際には、性的虐待の被害者が、汚い記憶を消したくて、あるいは、大人 に裏切られた寂しさを埋めたくて、性的逸脱行為を繰り返す、ということ は私も現場で見てきたことだ。 ここでは、相変わらず、子どもたちの現実を離れたところで議論が行われ ている、ということを改めて強く感じた。 なお、あれほど胸を張って説明をしてきた警察庁の今までの説明(例えば、 「中学生の女の子、旅行代は持ちますから、僕と一緒にハワイでデートし ませんか」という書き込みは違法ではない、と警察庁は言い続けてきた) が、今日の答弁ではひっくり返った(やはりハワイの書き込みも違法だそ うだ)。 事前説明がいい加減なものだとすると、事前説明そのものが無意味になる し、場合によっては、ちょっとした党の会議にも大臣に出てきてもらわな ければならなくなるかもしれない。大変な問題だ。 詳しくは後日議事録をご参照ください。 委員会終了後、理事会。今後の日程協議。 12時40分から代議士会。 13時から本会議。 採決7法案の後、司法制度改革のための裁判所法等改正案と担保物件及び 民事執行制度の改善のための民法改正案について、法務大臣から趣旨説明 の後、民主党の平岡秀夫議員から質疑。 本会議終了後、法務委員会。 刑法改正案の審議と採決。 16時半から、青少年問題特別委員会の野党理事懇談会。 修正、附帯決議、委員会で答弁がぐらついた点について政府見解を求める 件などについて協議。 この後、取材。 先ほどの野党理事懇談会での合意に基づいて、政府見解を求める文書、附 帯決議の柱などを私がまとめて、調査室に連絡したり、青少年問題特別委 員会の委員長に連絡したりする。 ■5月14日(水) 8時から厚生労働部門会議。 各種事務連絡。 派遣法改正案、労働基準法改正案などについての対応協議。 8時40分から厚生労働委員会。 午前中は、木村副大臣問題についての集中審議。 民主党の山井和則議員による「そういう事実(業界団体の利益のための厚 生省の担当者に働きかけをしたという面会)はなかったと断言できるか」 という質問に対して、木村副大臣が「全く身に覚えはございません」とい う答弁を何度も繰り返したため、委員会が紛糾。「身に覚えはないという のは潔白ということ。覚えていないということとは違う。覚えていないの か、それとも、そういう事実がなかったのか、どちらか」と尋ねても、最 後まで「全く身に覚えはございません」という答弁を続けた。国会を愚弄 しているとしか言いようがない。 9時半からは法務委員会もスタート。名古屋刑務所問題についての参考人 審議。法学部教授、元府中刑務所長、放水事件の時に名古屋刑務所にいた 刑務官が参考人。 12時から全議員政策懇談会。 昨夜合意に至った緊急事態法制修正案について。 結論としては、民主党が求めていた修正のうち重要なものの大部分が受け 入れられた。 民主党が提出している基本法について、「真摯に検討し速やかな措置をと る」ことが覚え書きに記された。また、危機管理庁(日本版FEMA)につい ては、附則においてその検討が規定されることになった。 また、政府原案において極めて曖昧だった基本的人権の制約について、必 要最小限のものに限られるべきであるということが明記され、さらに、万 人の平等、思想信条の自由、表現の自由、苦役の禁止については、具体的 に憲法の条項を挙げることで特記することができた。 さらに、政府原案は武力攻撃事態と武力攻撃予測事態の認定の前提となっ た事実を明らかにする規定がなかったが、それを入れることができた。こ れで恣意的運用を避ける足がかりができた。 また、対処措置の「始まり」については、国会の関与があるが、国会が対 処措置を「終える」仕組みがなかったところを、国会の議決により対処措 置を終える手続きを追加した。 NHK以外の民法に報道統制がかからないような仕組みを、附帯決議におい て担保した。 また、政府による適時適切な国民への情報提供が行われるよう、基本理念 が追加された。 その他、国民保護法制ができるまで、事態対処法案の一部の施行が凍結さ れた。 100パーセント満足できる内容ではないが、政府原案がそのまま可決さ れることを思えば、ここまでの修正を勝ち取ったということは評価される べきことだと思う。 私が造反すると心配してくださっている向きもあるようだが、野党第一党 としての立法責任(最終的に成立する法律をよりよいものにしていく責任) を自覚し、最低限守るべきことを守ったという認識のもと、明日の採決で は賛成することにした。 12時半から、国対役員・筆頭理事合同会議。 13時に党本部に移動して、役員室会議。 終了後、法務委員会に戻り、厚生労働委員会との間を移動しながら、二つ の常任委員会に出席。 15時からは、法務委員会に総理大臣が出席して審議。名古屋刑務所の事 件は冤罪であるという説明をする民主党の河村たかし議員に対して、小泉 首相は「初めて聞いて驚いています。事実だとしたら大変なことです」と 率直に表明。率直なのは良いが、三権分立を理解しているのかどうか疑問 な発言も飛び出し、相変わらず危うい人だと思った。 15時から「次の内閣」閣議が開かれていたが、17時前に、政調会長に 呼ばれる。 「出会い系サイト規制法案」について、「次の内閣」の結論は政調会長一 任となったが、会議の雰囲気は、合同部門会議の結論とは全く異なってい たということ。 なにやら少年法の過去を思い出すような事件だが、それ以上にやはり私が 問題だと思っているのは、今回提出を試みた修正案の中身である。自分で 作っておいて言うのも変だが、子どもの問題しか修正の提案がされていな い。実際には、この法案は、警察の恣意的運用の可能性や、通信の自由と の関連など、本質的に危険な要素がある。このような認識を当初よりして いたため、あえて、子ども部門だけではなく、内閣府部門・法務部門・総 務部門の合同会議という形をとってきたのだが、結論として、修正案とし て作られたのは、子どもの面にとどまった。 網羅的な修正案が作られなかったのは、法案のそもそもの組立がおかしい ということもあるのだろう。 子ども政策会議としては、子どもの観点からの修正を提案したが、他の観 点からの修正ができていない、という点では、修正案は提出するのにも不 十分だと考えられる。 このような背景から、せっかく準備をしてきた修正案は提出しないことと し、政府原案に反対する、という方針が決まった。そして、子どもの被害 を減らすための規制をすることには原則として賛成、という民主党の立場 を明らかにするために、反対討論をすることになった。 他の野党3党の理事の皆さんにもご了解をいただき、民主党と足並みをそ ろえていただけることになった。 こうしたすったもんだで、本当に大変な一日だった。筆頭理事としての初 めての仕事がこんな法案だったというのは、運が悪かったというべきか、 勉強になって運が良かったというべきか。 19時前に、取材。 「こんな法案がこのまま通ると思えなかったけれど、油断していました」 という記者さんの弁に、深くうなずいた。 ■5月15日(木) 8時半から法務部門会議。 9時に警察庁の方たちが来室。今日の午後の質問についての質問取り。 10時から、青少年問題特別委員会の理事懇談会。今日の委員会の日程や 法案賛否の確認、附帯決議の確認、先日提出を依頼した政府見解について の確認、など。 理事懇談会散会後、野党の理事で集まって児童虐待防止法改正に向けての 打ち合わせ。 この後、憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会。 知る権利・アクセス権とプライバシー権について、情報公開の草分けであ る堀部政男氏を参考人として招いての質疑と自由討論。 11時半から、パート法案についての各党実務者会議。2月末に私たちが まとめた民主党法案骨子に基づき、各党の話し合いを進めていこうとする 会議。 12時40分から代議士会。 13時から本会議。 採決2法案の後、有事法制(修正案)について、委員長から報告の後、自 民党と野党各党から討論があり、採決。 この後、採決2法案があり、終了。 本会議終了後、今日の青少年問題特別委員会で民主党を代表して反対討論 をしていただくことになっている石毛えい子議員と共に、討論の内容につ いての打ち合わせを急いでする。 14時50分から青少年問題特別委員会理事会。 15時から青少年問題特別委員会。 私は本日も質疑に立った。 本来私たちが提案したかった子どもの罰則の部分についての修正ではなぜ だめなのか。 出会い系サイトの問題についての警察庁と文部科学省との連携、厚生労働 省との連携などについて。 また、保護法益について法務省と警察庁との間にズレがあるのではないか。 などの質問をした。 詳しくは後日議事録をご覧ください。 質疑終了後、野党各党より反対討論が行われ、採決。 採決後、私が附帯決議を読み上げ、全会一致で賛成された。この附帯決議 がとれただけでもほっとしている。 事務所に戻って、夜まで打ち合わせ。 ■5月16日(金) 朝は事務所で打ち合わせ。9時から厚生労働委員会と法務委員会が共にス タート。 厚生労働委員会は、派遣法等改正案についての審議。 法務委員会は、10時半までは名古屋刑務所問題の集中審議。法務省が提 出している報告書の内容と、先日参考人として招かれた現場の刑務官の言 い分が180度異なることが大きな問題になっている。 10時半からは司法制度改革のための裁判所法改正案の審議。 12時40分から代議士会。 13時から本会議。 採決7法案。 本会議終了後、厚生労働委員会へ。 取材を受けてから、16時36分の新幹線で宇都宮へ。 18時から石井万吉県議の躍進の集い。 その後、ミニ集会。 ■5月17日(土) 小山に移動して、10時から部落解放同盟栃木県連の定期大会。 宇都宮に戻り、14時からは「女性のための政治スクール」。今月は介護 がテーマだが、有事法制についての報告に前半の時間を費やした。 16時から県連で、国会議員と県会議員の会議。 |