国会報告 その136(2003.3.17発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(03/09〜03/15)



■3月9日(日)




日中は、来客など。

18時から、金田貞夫市議の事務所開き。民主党系の会派、民主市民連合 の会長としてまとめ役をされているベテラン議員である。

挨拶後、直ちに車をとばして今市に移動して、加藤まさる県議選候補者の 総決起集会に駆けつける。
元今市市議の加藤さんは、4年前の県議選に惜敗されてから、地道に努力 をされてきた。市民の視点からの政治にこだわり、男性にしては珍しく男 女共同参画を真正面から訴えられる方である。価値観が私と近い方だと感 じている。



■3月10日(月)




7時45分から恒例のマンデーリポート。

9時半から定例の事務所内打ち合わせ。

請願などを受けて、12時から告別式。

午後は、統一自治体選挙に関しての挨拶まわり。



■3月11日(火)




12時34分の新幹線で東京へ。

14時から代表選挙制度検討委員会。

15時から総括副大臣会議。

17時から、男女共同参画委員会の勉強会。
男女共同参画推進条例の制定状況と当面する課題について、十文字学園女 子大学教授の橋本ヒロ子氏よりヒアリング。やはり、ここのところ、全国 各地での揺り戻し現象と、一部メディアの偏った取り上げ方が問題との認 識を持たれている。
国会における一連の審議の混乱がどれほど現場に悪影響を及ぼしているか を改めて痛感すると共に、先日、予算委員会分科会で質問しておいて本当 に良かったと思った。



■3月12日(水)




8時から、厚生労働部門会議。
各種事務連絡。
構造改革特区問題(医療関連等)について、内閣官房および厚生労働省よ りヒアリング。

今回の特区構想では、自由診療の領域に限って株式会社の参入を認める、 という項目がある。
医療への株式会社参入については、単に「競争原理が働いて医療の質が上 がって結構」という認識を持っている程度の人が多いが、実は多くの問題 をはらんでいると思う(そもそも、どんな医療機関でも受診することがで きる現在の仕組みの中では、競争原理はすでに働いている。競争原理をも っときちんと働かせるために必要なのは、株式会社の参入ではなく、情報 公開の徹底である)。

私は、「人手=人件費」をかけるほど提供するものの質が上がる領域であ る医療や保育などには、どれだけ配当が出せるかという株式会社方式はな じみにくいと考えている。

さらに、別の問題もある。今日は五島正規議員から指摘があったが、特区 を利用して、全国の何か所かに「がん手術専門病院」ができたらどうなる か。2週間で手術(一日10万円)、年間2回程度のフォローアップ、と いうふうなやり方をすれば、全国8カ所程度(一カ所200床程度)は採 算がとれるという試算だそうだ。年間の医療費は130〜150億円で、 人件費は3分の1程度に抑えられる。だが、そういう病院で一カ所あたり 40名も専門医を集めてしまったら、一般の医療機関に専門医は残される のだろうか? また、営利ベースで患者を選別し、「もうからない」人を 保険医療機関にどんどん紹介する、という方式になってしまったら、自分 のところで診ない患者さんをどんどんよそに紹介してしまったら、医療全 体のバランスがおかしくなるのではないか。

また、一つの会社が「がん専門病院」と「がん保険」を同時に運営した場 合、どうなるか・・・、等々、検討すべき問題はたくさんある。厚生労働 省は、これらの疑問にきちんと答えることができなかった。というよりも、 厚生労働省の本音は、特区構想に反対なのだろう。「これらの点を我々も 懸念しまして、慎重に考えておりましたが、総理のご決断で決まりました ので・・・」という言い方。どういう根拠に基づいての「ご決断」なのか。 これが政治のリーダーシップなのか。疑問だ。

本当は8時45分から内閣府部門/市民・子ども部門合同役員会議、9時 から合同会議があったが、医療特区の問題は私にとっても中核的なテーマ なので、本日は厚生労働を優先して会議に残る。

午前中の残り時間で、アメリカに留学中の日本人学生の方たちへのビデオ メッセージ収録。

12時から国対役員・筆頭理事合同会議。

党本部に移動して、13時から役員室会議。

14時15分、14時半からそれぞれ取材。

明日の憲法調査会小委員会で質問することになったため、準備など。



■3月13日(木)




8時から医療問題プロジェクトチーム。
医療保険制度改革等について連合からのヒアリング。
難病対策推進法案についての中間報告。
難病の範囲や施策を決める審議会に、患者代表を入れることを法文上明記 するよう、リクエストした。患者の方たちの懸念は、「自分たちの運命が、 役所の都合で勝手に決められるのではないか」という点に尽きる。審議会 の構成を政令に全てゆだねてしまわずに、条文ですでに当事者を位置づけ るべきだと意見を述べた。

8時半から始まっていた法務部門会議に、遅れて出席。
今日は、名古屋刑務所事件に関して、監獄人権センター事務局長の海渡雄 一弁護士よりヒアリングが行われている。矯正行政をめぐる異常な実態が 次々と明らかになっている。また、逮捕された刑務官に関して、「命令に 従っただけなのだから罪はない」という論調での連帯運動が刑務官の間で 起こっているらしい。永田町できれい事を答弁している法務省上層部と、 現場の刑務官との間に、すさまじいズレが起こっており、異常な状況にな っているという話を聞く。

他人を拷問したり殺したりした人のことを「命令に従っただけだ」と言う 感覚も異常だが、密室化した構造の中、とんでもない事件が起こり、責任 をとるべき人がとらない、という意味では、行政の問題点の縮図とも言え ると思う。「どうせ悪いことをした人たちだから」と切り捨てずに、より 多くの方に関心を持っていただきたい。

その後、各種事務連絡。

赤坂に移動して、11時半から「国のかたち研究会」。

国会に戻り、12時40分から代議士会。
13時から本会議。
日銀総裁と副総裁人事についての同意案件。
民主党はいずれも反対。
この後、食品安全基本法案について、趣旨説明の後、民主・自由・共産・ 社民の各党より質問。

本会議終了後、14時46分から憲法調査会「基本的人権の保障に関する 調査小委員会」。
今日のテーマは、労働基本権。公務員制度改革について、東大教授の菅野 和夫氏、男女共同参画について、元労働省女性局長の藤井龍子氏が参考人 として意見陳述をされた。
私は10人中9番目という質問の順番であり、いろいろな論点が質疑し尽 くされた後、主に男女共同参画について質問した。
ここのところ故意か過失か、男女共同参画の議論が混乱しているが、憲法 の定める両性の平等と勤労の権利を共に満たすためには、男女の生物学的 な違いを尊重しつつ、働く機会の均等ができるだけ妨げられないようにす ることが労働行政の目指すものと理解して良いか。

日本は、いわゆるワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活のバランス) が極端に悪い国だと言われているが、ワーク・ライフ・バランスを良くす るということは、女性の社会進出を促進し、子どもが健やかに育つ環境を 作るだけでなく、アメリカではビジネス戦略として活用されていると聞く。
つまり、私生活が充実している人は、仕事の効率も良いということである。
このあたりの問題について、質問をした。
詳しくは後日議事録をご参照ください。

参考人に対する質問の後、自由討議が行われ、18時頃ようやく会議が終 了。

今日の午後は、小泉首相と各党の党首会談が行われた。党首会談は密室で 行われた(密室だったというのに、首相の態度は何も明らかにならなかっ たそうだ)。小泉首相が出席して行われる予定だった明日の本会議は開か れないことになった。

イラク情勢がこれほど緊迫した中、国民に対する説明責任をここまで放棄 している日本政府は異常だ。フランスのシラク大統領は「戦争によらなく ても解決できることを、なぜ戦争によって解決するのだ」と、大変わかり やすいメッセージを送っている。方や、イギリスのブレア首相は、立場は 違うが、テレビの画面で、言葉を尽くして説明をしている。こういう各国 首脳を見ていると、日本は本当に情けない国だと痛感する。

ユニセフによると、イラクでは、湾岸戦争とその後の経済制裁の影響を受 けて、4人に1人の子どもが栄養失調で、8人に1人の子どもが5歳まで に亡くなっているという。同僚議員の首藤信彦氏は、自身のホームページ (http://www.sutoband.org/)で、アメリカとイラクの関係をイソップ童 話に例えた後、「国際法を無視して他国に攻め入り、自国のクルド住民を 虐殺したイラクを子羊にたとえるのは当たらないが、いかに、弁明しよう と、最悪の状況に追い込まれる国の運命に同情を禁じえないのは、脳裏の どこかで、さまざまな可能性を模索しつつも結局は太平洋戦争に追い込ま れた日本の歴史とのアナロジーを感じるからであろうか」と書いている。

米国は「戦争のおかげで日本を民主主義国家にした」と胸を張る。でも、 原爆の被害にあった多くの方たちにとって、被害は被害でしかないという ことを忘れてはならない。イラクと言うと単にサダム=フセインの顔を思 い浮かべる人がいるかもしれないが、イラクで暮らす子どもたちの顔も同 時に思い浮かべて、一つ一つの命を大切に考えていただきたい。アフガニ スタン攻撃でも、「誤爆」で貴重な幼い命が奪われ、肝心のビンラディン は未だに捕まっていないということは歴然とした事実なのだ。



■3月14日(金)




8時から、税制調査会・年金改革プロジェクトチーム合同会議。

「年金制度創設時からのその経緯と水準について」「諸外国との比較につ いて」、厚生労働省よりヒアリング。

「福祉国会の類型ー諸外国の社会保障システム」について、国立国会図書 館よりヒアリング。

11時半から、内閣府部門、市民・子ども部門(子ども政策会議)、法務 部門合同会議。いわゆる「出会い系サイト」の法的規制の在り方について、 株式会社YAHOOの法務部長の方、また、ECPATストップ子ども買春の会の宮 本潤子氏よりヒアリング。
子どもを処罰の対象とするという点で問題法案だと認識してきたが、事業 者の立場からの話を聞き、有効性・実現性という点からさらに数々の疑問 が生じる。「出会い系サイトをきっかけとした犯罪から子どもたちを守る」 という本来の目的を達成できないどころかかえって有害なことになってし まうのではないか?という懸念はますます深まる。

合同部門会議終了後、子ども政策役員会議。
「次の内閣」市民・子ども部門大臣の石毛えい子衆議院議員、子ども政策 会議座長の私、副座長の江田五月参議院議員と山本孝史参議院議員、事務 局次長の津川祥吾衆議院議員と斎藤淳衆議院議員が出席された。事務局長 である小宮山洋子さんが4月の衆議院補欠選挙(東京6区=私の実家のあ る世田谷)に立候補することになったため、小宮山さんが不在の間、津川 さんに事務局長代行として事務局をやっていただくことになった。小宮山 さんが衆議院議員の事務局長として子ども政策会議に戻られるよう、ぜひ 皆さまも応援してください。

たまった雑務をすませて、夕方宇都宮に戻る。



■3月15日(土)




午前中は子どもの保育園の卒園式。うちの娘もこの4月からいよいよ最高 学年となるため、今年は送り出す側代表としての参加となった。宇都宮の 保育園に移ってきたのがまだ1歳の時だったから、時間がたつのは早いも のだ。

午後は、統一地方選関連の会合など。






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