国会報告 その124(2002.12.16発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(12/08〜12/14)




◆民主党新体制スタート



 大変混乱してご迷惑やご心配をおかけした民主党ですが、おかげさまで 12月13日より新体制がスタートしました。菅直人代表、岡田克也幹事 長、枝野幸男政調会長、という布陣で、今の民主党において考えられ得る 最強の形ができたと思います。菅さんも岡田さんも枝野さんも私が尊敬し て親しくさせていただいている方たちであり、執行部の精神的距離もぐっ と近くなった気がしています。
 私自身は代表室(政府であれば首相官邸に当たるものだと思います)に 入ることになり、代表補佐官という立場を任命していただきました。

 危機的な日本の政治を救う最短距離は、民主党が結党時の精神に基づい て市民が主役の政党として成長することだと思っています。最低レベルま で低下した支持率も回復の兆しを見せているようですが、二大政党の一翼 を担えるように、最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
 この間の混乱を心よりお詫びすると同時に、さらなるご指導とご支援を いただけますよう心よりお願い申し上げます。

 なお、代表選において菅さんと岡田さんが争ったのに、選挙に負けた岡 田さんが幹事長に就任したことを批判する方もいらっしゃるようですが、 前号でも書きましたように、菅さんは初めから「自分が代表になったら幹 事長は岡田さん」と明言して代表選を戦ってきました。これだけ危機的な 民主党の現状を考えると、失敗は許されないわけですから、可能な限り党 の体制を明らかにした上で選挙に臨むべきだと私は考えましたし、菅さん にも同意していただけました。ですから、岡田さんを幹事長に任命したこ とは菅さんにとっては公約を実現したということにすぎず、それを引き受 けられた岡田さんは、新代表の指示に従うことが党人として当然の行動だ と思ったにすぎない、ということをご理解いただければ幸いです。



■12月8日(日)



午前中は、地元の2つの餅つき大会に娘と共に参加。久しぶりに餅つきを させていただく。
途中で、テレビ出演中の菅さんについて、いろいろと電話連絡。菅さんに は10時直前に、「日本に初めての市民派総理が誕生して、期待に胸を膨 らませている国民を相手に、初めてテレビで話す気持ちで話してください」 と電話で伝える。

12時半からサンパティックダム(宇都宮市の海外研修に行った方たちの グループ)主催の「普段着の女性議員と語ろう−生きる力をつけるとはど んなこと?− 新学習指導要領について」にパネリストとして参加。
日本の教育が、自分の頭で考える力をつけられるものとはほど遠かったこ とは事実だ。私自身が受けた教育を振り返っても、「あなたはどう思いま すか?」と聞かれて、「みんなはこう言っています」と答えても許された ように思う。さらに「みんなはどうでも良いけれど、あなた自身はどう思 うのですか?」と問い返してもらえるような教育は受けなかった。

考える力をつけるためにも、また、学ぶ意欲を喚起するためにも、そして、 それこそ「生きる力」をつけるためにも、知識偏重教育からの脱皮という のは賛成だが、それを「総合学習」という特別の時間として切り離すのは、 いかにもお役所的で無理がある。それぞれの教科の中でも生きる力はつけ なければならない。教科は知識偏重、総合学習は生きる力、という割り切 り方がいかにも現実をわかっていない文部科学省らしい机上の空論なのだ。
もちろん、体験学習は大切だ。学校だけが地域や一般社会から切り離され て良いわけはない。社会から切り離されて、卒業すると同時に社会に放り 出される、というのでは、生きる力どころではない。
それぞれの教科の中で自分で考えられる頭をつくること、そして、体験学 習を充実させること、それこそが本道だと思うのだが。

16時半近くに終了し、その後は事務所で個人相談を受ける。



■12月9日(月)



宇都宮は大雪。雪のため街宣車が出せないという連絡が事務所スタッフよ りあり、今朝はマンデーリポートを見送る。

雪のためにあまり動き回れず、日中は事務所内の打ち合わせや取材、散髪、 原稿執筆など。代表選がいよいよ明日なので、電話かけにも精を出す。

18時半から県議の山田みやこさんを励ます会。中央大学の広岡守穂氏が 講演に見えた。



■12月10日(火)



昨日の代わりに、7時45分から恒例のマンデーリポート。
今日は話している途中に吹雪になり、顔に雪が吹き付けてきた。

10時7分の新幹線で東京へ。

11時半から取材。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。
人事案件14件の採決の後、戸籍法改正案の採決と、裁判所法一部改正案、 検察庁法一部改正案、精神保健福祉法一部改正案、心神喪失者医療観察法 案の採決。裁判所法一部改正案から精神保健福祉法一部改正案までは私た ちが作った民主党議員立法であり、否決はされたものの本会議採決までこ ぎ着けたのはむしろ珍しい。精神保健福祉法一部改正案については私が筆 頭提出者になっているので、私の名前が本会議中に法務委員長や衆議院議 長によって何度も呼ばれた。
政府提出の心神喪失者医療観察法案の採決の時には、傍聴席で「保安処分 反対!」というような声が多く上がり、どこからともなく大勢集まってき た衛視によって外に引っぱり出されていた。

この採決の後、決算行政監視委員長から報告のあった3つの案件について 採決をするはずだったが、2つめの案件の採決を終えた後に議長が「本日 はこれにて散会」と言ってしまった。どよめく場内を見て、慌てて3つめ の案件の採決をしたのだが、「本日はこれにて散会」と言った後だったた め、有効とは認められず、後日に回されることになったようだ。たるんだ 臨時国会を象徴するような出来事だった。

17時に赤坂に移動して、菅さんの臨時選対事務所へ。
最後の電話かけを少々してから、菅さんと共に車でキャピトル東急へ。両 院議員総会の会場である。
車中で菅さんに「演説の時に照れないでくださいね。菅さんは恥ずかしが り屋だから」と言うと、とても嬉しそうに驚いて、「水島さんは僕のこと をずいぶんわかってくれているんだね。僕のことを恥ずかしがり屋だなん て言ってくれたのは水島さんが初めてだ」と言っていた。私は当然のこと を言ったつもりだったので、菅さんはそんなに誤解されているのか、と、 こちらこそ意外だった。

18時から両院議員総会。

岡田克也さん、菅直人さんの順で10分ずつの演説があった後、衆参議員 183名による投票。菅さんの演説は、いつものように照れることなく、 とても感情がこもっていて堂々としており、「この人に総理大臣を」と思 わせるようなものだった(後になって、「恥ずかしがり屋」という私のア ドバイスが効いたのだと言ってくださった)。
開票作業は壇上で公開にて行われたが、票を数えたり確認したりする作業 に手間取り、かなりハラハラする時間が続いた。この時点まで、菅さんは 劣勢だと言われていたので、5票くらの差で負けるのではないか、と思っ てみたり、でも、演説が思いのほかすばらしかったので、もしかしたら、 というような気持ちを持ってみたり、9月の代表選でがっかりしたことを 昨日のことのように思い出したりと、時間がとても長く感じられた。

最終的に読み上げられた結果は、岡田さん79票、菅さん104票。予想 外の圧勝だった。
菅さんの勝利を願って、本当に一生懸命応援してきたので、自分が当選し たときよりも嬉しいくらいだった。

両院議員総会終了後、菅さんのために頑張ってくれた他の事務所の議員秘 書の方たちと小さな祝勝会。その後、赤坂の国のかたち研究所に行き、菅 さんを支えてきた方たちと祝賀会。9時頃に菅さんが立ち寄られ、岡田さ んに幹事長をお願いして快諾してもらったことなどの報告を受ける。これ で一安心だ。党の混乱は急速に収束していくのではないか、という希望が 持て、二カ月半ぶりに本当に明るい気分になった。
東京泊。



■12月11日(水)



8時から厚生労働部門会議。
介護報酬の見直しに関する厚生労働省審議会の改定基本方針について、厚 生労働省よりヒアリング。

10時37分発の新幹線で名古屋へ。
今日は、衆議院法務委員会での名古屋刑務所の視察。
名古屋刑務所での暴行事件・殺人事件をきっかけとしての視察である。
全体として、やはり過剰収容が目についた。5人部屋に7人、独房に2人、 というような使い方である。法務委員会の質問の中で私もすでに指摘して いるが、過剰収容という現実は真剣に考えなければならない問題だ。受刑者もストレスがたまるし、刑務官も心の負担が限界に来ている。
革手錠そのものは、金属手錠よりも手に傷がつきにくいというところはあ るのだろうが、これでウエストを20センチ以上も締め上げたことの異常 さを、現物を見て改めて認識した。ちょっとした手違いなどでは絶対に説 明できない、明らかな犯罪行為だ。

刑務所とは関係ないが、視察の時などは、日頃あまりゆっくり話をする機 会のない他党の議員と親しくすることができる。普段は聞けない情報を入 手したり、他党の議員の人間性を知ったり、プラスアルファの要素がずい ぶんある。特に、法務委員会は各党とも比較的人権派の議員が多いので (弁護士出身者が多いためか、票にならない委員会だからか)、いろいろ とためになる話を聞くことができた。

18時53分に東京に着き、そのまま赤坂に向かい、内閣部門役員の懇親 会へ。

東京泊。



■12月12日(木)



8時から年金改革プロジェクトチーム。
年金額等の物価スライドについて。
年金額等については、法律上、物価の変動に応じて自動的に額を改定する ことになっている。これまで、対前年比で物価指数が下落した年は、いず れの年も景気等への配慮から、特例法により、年金額等を据え置く特例措 置を講じている。1999年0.3%、2000年0.7%、2001年 0.7%で、累積1.7%のスライド停止となっている。今年も消費者物 価指数は0.9%〜1.0%低下する見込み。財務省は、3年の累積分を まとめて解消しようともくろんでいるらしい。厚生労働省は、今年分くら いの低下分くらいは仕方がないという考え方のようだ。

9時から法務部門会議。
閉会に当たっての各種事務連絡や方針決定。

10時半に参議院の厚生労働委員会に行って、武見敬三議員と打ち合わせ。 かねてから、超党派の漢方議員連盟を作って活動したいという考えを温め てきたが、いよいよ具体化したいと思い、漢方に熱心な武見議員に意見を 聞きに行ったのだが、大変好意的な返事をいただいた。
私も何度か委員会で指摘してきているが、一人一人のQOLを向上させ、 医療費の無駄をなくすためにも、ぜひ漢方を主流化していきたい。

12時から国際局役員会議。

12時40分から代議士会。
13時から本会議。
前回の本会議で議長が採決し忘れた案件を冒頭に採決し、その後、採決2 本。
ちなみに、議長は「前回の本会議で手違いがありました」とだけ言って採 決をした。謝罪はなし。立法府の長がこんなことで良いのだろうか。

本会議終了後、直ちに党本部に移動して、女性議員全員の新春ビデオメッ セージの収録。
ホームページ用だそうだ。

14時半より青少年問題特別委員会。
青少年の薬物乱用の防止に関する決議。
その他、陳情書、意見書をはじめ、閉会時の手続き。

取材などを経て、19時半から「いっきの会」の懇親会。鳩山代表、菅新 代表が共に顔を出された。

20時半から別の懇親会。

東京泊。



■12月13日(金)



10時から厚生労働委員会。
閉会時の手続き。
全く同じ時間帯に開かれた法務委員会には全く出席できないため、中村哲 治議員に代理出席していただく。

11時半から、政官業の癒着を断っていくための政治資金のあり方につい て打ち合わせ。

12時半から代議士会。
13時から本会議。
請願の扱いや、閉会中審査(継続審議)の採決、議長による会期終了の挨 拶。

14時から党本部で両院議員総会。菅直人新体制が正式にスタートした。 両院議員総会終了後、懇親会。

日比谷公会堂に移動し、「児童虐待防止法の改正を求める全国ネットワー ク 子どもの虐待死を悼み、いのちを讃える市民集会」に参加。

移動中、代表室長に決まった荒井聡衆議院議員から、代表補佐官になるよ うにという連絡が入る。
党首討論や全国遊説など、代表の活動を全般的に支える仕事だと聞いてい るが、もちろん初体験。

17時44分の新幹線で宇都宮へ。
19時から、産婦人科医の方たちを対象に、十代の性の問題などについて 講演。
国会では一部の議員を中心に恥ずかしいほどの非科学的な揺り戻し現象が 起こっている性教育だが、さすがに現場を知っている産婦人科医の方たち は違う。「無知な国会議員を教育してください」と注文をつけていただく。

講演終了後、懇親会。



■12月14日(土)



午前中は、子どもたちの保育園のクリスマス会。

12時半に保育園を出て、鹿沼へ。

鹿沼で開かれた、栃木県ピアカウンセリングに特別見学者として参加させ ていただく。性教育のピアカウンセリングの現場を見るのは初めてなので 大変参考になった。「性教育は寝た子を起こす」などと言っている揺り戻 し国会議員たちにもぜひこういう現場を見てほしいものだ。

16時すぎまでピアカウンセリングを見学させていただき、その後、宇都 宮に戻って弔問。

18時半からはボランティアミーティング。私が8月にカンボジアのアン コール小児病院でお世話になった歯科医の越渡詠美子さんが帰国されたた め、今日は宇都宮まで来ていただき、ボランティアの皆さんを対象に、カ ンボジアの話をしていただく。とても楽しい会になった。






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