国会報告(8/4〜8/24) |
■8月5日・6日 コロンビア大学摂食障害専門ユニット(EDRU)視察記2(前号より続く) コロンビア大学の摂食障害専門ユニット(EDRU)では、公費と研究費によ りすべてがまかなわれており、すべての入院・外来患者は臨床研究に参加 することを条件に無料で治療を受けている。 これは患者にとっても良いことであり、質の良い研究を生み出す源泉にも なっている。 質の良い研究成果が得られなければその後の研究費も下りなくなる。この ため、行われる治療は、注目に値する、きちんとした効果が得られる(こ とがかなりの確率で期待される)ものとなり、独りよがりのあいまいな治 療は入り込む余地がない。 研究対象となることは、経済的なメリットだけでなく、体系だった最新の 治療が行われるというメリットも患者に与え、さらには、自分の心身につ いてのデータをすべて知らせてもらえるというメリットも与えることにな る。 治療環境としてうらやましく思ったのは、スタッフの層の厚さである。 1人の患者を、主治医、研修医、(患者によっては臨床心理士)、看護師、 ソーシャルワーカー、レクリエーション療法士、作業療法士が担当する。 つまり、最低でも6名が患者を個人的に受け持つ。治療のための会議でも、 この6名(あるいは7名)がそれぞれ意見を出し合う。 私が日本の大学病院で治療をしていたときには、私自身と、研修医と、せ いぜい担当看護師(専門性なし)だった。 入院患者のスケジュールも、朝から晩まで、グループ精神療法をはじめ、 様々なタイプのグループ療法で埋まっており、日程表はびっしりだ。 日本では、入院したものの、主治医との面接以外は一日をボーっと持て余 している患者が多いこととは対照的だ。 日本と比べれば遙かに恵まれた環境であっても、EDRUの患者たちは「それ でも退屈だ」と言っていた。 2日間の滞在中、病棟で行われる治療のための会議に参加したり、スタッ フからいろいろな事情を直接聞いたりしただけでなく、研究のための会議 に参加したり、拒食症患者に対する新しいタイプの家族療法(スタンフォ ード大学など3つの施設で臨床研究が同時進行中)のスーパービジョン (精神療法の面接について指導者が意見を言う)に同席させてもらったり した。 また、研究について患者が意見を出し合うミーティングにも参加させても らい、直接いろいろな質問をさせていただいた。 国際的に著名な研究者たちとも個別の面談を多数させてもらうことができ た。 「むちゃ食い症候群」の専門家で、EDRUの副主任であるデブリン医師から は、むちゃ食い症候群の最新の知見と肥満の治療について教えていただい た。 私の専門である「対人関係療法」の専門研究者であるバーデリ博士からは、 電話による対人関係療法、予防のための対人関係療法など、最新の情報を 多々教えてもらった。 会談中に、ウガンダでの最近の臨床試験の結果を知らせる電話がバーデリ 博士のところにかかってきた。薬どころか食物もままならない国において も精神障害は生じる。心の問題はむしろぜいたくな悩みとして後回しにさ れるのはどこの国でも同じだが、ウガンダの一地域に、うつ病が多発して いるところがある。そこで施された対人関係療法が、大変な好成績を挙げ たという知らせだった。 薬も使わない対人関係療法はウガンダのような国では大きな可能性を持つ 治療法であることが確認された。 対人関係療法の最新の型の一つである「グループ対人関係療法」(対人関 係療法をグループ治療として行うもの)については、テキストの翻訳権を 私が取って訳書を出版する予定になっている。 対人関係療法の創始者であるワイスマン博士は休暇中だったが、私のため にサイン入りの著書を託してくださっていた。 その他、IRB(施設内審査委員会)の責任者であるストラウス博士と面談し、 臨床試験が適正なものであるかどうかの審査について書面をいただいたり 説明をうかがったりした。 個人情報保護法案に関連して、医学研究などにおける個人情報保護のあり 方について私が担当することになっているが、その方面にも役立つ話をう かがった。 EDRUの責任者であり、摂食障害の研究で世界的に著名なウォルシュ博士と も昼食をとりながらいろいろな話をすることができた。 2日目の午後は、コロンビア大学を離れて、Horace Mannという私立学校を 訪問。フルブライトのプログラムがあり、宇都宮北高校と交換留学の関係 を持っているというのでコロンビア大学の人に訪問を勧められたため。閑 静な住宅街の中にあるすばらしい学校だった。夏休み中だったが、責任者 のワイス博士が学校内をすべて案内して説明してくださった。 セットしていただいたスケジュールのほか、共同研究の打ち合わせをした りして、2日間の視察を終了。盛りだくさんで実りの多い2日間だった。 ■8月11日(日) 会合に出席。事務作業、原稿執筆など。 ■8月12日(月) 7時45分から恒例のマンデーリポート。 今日から事務所はお盆休みなので、打ち合わせはなし。 10時からニューヨーク視察についての取材。 11時から個人相談。 11時40分から、県の子ども病院の設立に患者側の声をいかに反映させ るか、という問題に取り組んでおられる方が事務所に見える。 午後はお見舞いや後援会員宅訪問。 9月10日に県連で主催する民主党文化セミナー(いわゆる政治資金パー ティーだが、1〜2万円で立食という従来のパターンをやめて、5000 円で動物占いの講演プラス講師の著書という企画にしている)のチケット 売りで大変苦しんでいる。来年の統一地方選のための資金づくりが目的だ が、国会議員1人あたりのノルマが400枚あるだけでなく、私のように 県連内で最も政治経験の短い議員は先輩議員と関わりのある方にチケット を売ることが原則として許されないため、大変なハンディだ。 また、私自身は政治資金パーティーをしない方針だということもあるが、 チケット購入のお願いをすると「何だ、民主党も自民党と同じじゃないか」 と言われることも少なくない。 このような問題意識を共有する若手議員は多く、菅直人さんを代表選で応 援する7つの条件の一つに「党主催の政治資金パーティーの廃止」を盛り 込んだのもそのような動機だ。 そうは言っても、すでに決められている9月10日のチケットは売らなけ ればならない。また、国会議員としてのノルマの他に、栃木県一区総支部 としてのノルマも260枚あり、こちらも頭の痛い話。 16時から統一地方選に向けての選対会議。 18時から県連三役会議。 19時から県連幹事会。 ■8月13日〜15日 亡くなられて初めてのお盆を迎えられた後援会の方のお宅を訪問。この 「初盆まわり」は、かつて「線香配り」などが問題になり、議員辞職者も 出したほどの行事だが、私はもちろん活動報告のみを持参し、お線香を上 げさせていただくだけである。 ■8月16日〜22日 カンボジア訪問。子どものための夏休みが半分と、シェムリアップのアン コール小児病院などの視察が半分。 アンコール小児病院は、1999年1月に開院した。運営しているのは NGOの「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー (Friends Without A Border)」で、日本の写真家・井津建郎氏が中心にな って設立された。日本やアメリカの人たちの寄付のみで運営されている。 感染症や熱傷などの子どもたちや、地雷の被害にあった子どもたちなど、 1日平均130人以上の子どもたちを治療している。24時間体制の救急 病院。患者が多く殺到するため、軽症の患者は看護師が受付のところで帰 宅させているそうだ。 ODAを食い物にする政治家がいる一方で、NGOの役割はここでもやはり大き かった。 50ドルの会費で、150名の外来患者、40名以上の子どもたちへの薬 剤投与、あるいは、カンボジア人看護師の月給の半額がまかなえる。寄付 などの問い合わせは、フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー ジャパン (電話03-5722-2381、ファクス03-5722-2060、 メール friends@rf6.so-net.ne.jp)まで。 <補足説明> 「アンコール小児病院」の記述の中で不十分な点がありましたので補足させていただきます。 「患者が多く殺到するため、軽症の患者は看護師が受付のところで帰宅さ せているそうだ」と書きましたが、これは何もしないで送り返しているわ けではなく、2週間の特別訓練を受けた看護師が、外来の待合所に配置さ れ、患者の重症度を評価し、重症な場合には医師へ送り、軽症な場合は看 護師が健康教育と薬の処方を責任を持ってすることになっている、という システムです。日々増える来院患者を4〜5名の医師では診きれないため、 このようなシステムをとっているそうです。 また、記述では現地情報により「50ドルの会費で」と書きましたが、日 本の会員の会費は6000円です。ご支援をいただければ幸いです。 ■8月23日(金) 朝、日本に到着し、留守中にたまった仕事の処理。 とりあえずの心配は、25日に決まっている菅直人幹事長の宇都宮訪問だ。 党員・サポーター募集のためのキャンペーンにくるので県連としての行事 になるのかと思っていたら、代表選関連だということで、応援する議員が 独自に取り組むべきだという県連の見解だとのこと。わが事務所単独で 「要人」を迎えた経験は全くないので、不安はつきない。 ■8月24日(土) 9時半から労組の大会。 その後、たまった用事を済ませる。 午後は「生命のメッセージ展 in 宇都宮」を見に行く。「理不尽に生命 を奪われし者たちへのレクイエム」という副題がついているとおり、犯罪 被害者の方たちの等身大の人型と遺品の靴を展示し、人々への訴えかけを しようという催し。全国各地で開かれており、宇都宮は11カ所目となる。 本日は井上保孝さん・郁美さん夫妻も講演のために見えた。井上さんご夫 妻は飲酒運転の運転手のために幼い2人のお子さんを一瞬にして失われた 被害者だが、井上さんたちの訴えによって多くの署名が集まり、まずは民 主党で私たちが危険運転(飲酒、麻薬など)による事故の量刑を重くする 議員立法をした。野党案のために法案は成立しなかったが、その後政府が そっくり同じような法案を提出し、成立した経緯がある。井上さんご夫妻 は何度も国会に足を運ばれ、私も何度かお目にかかった。 民主党でも「犯罪被害者基本法案」を提出しては廃案にされているが、日 本における犯罪被害者の方たちの人権はあまりにも低い。 犯罪を少しでも減らす取り組みをすると同時に、犯罪被害者の問題にも引 き続き目を向けていきたい。 14時から、9月7日のバス旅行に向けての呼びかけ人会議。 15時50分からチャリティー夏祭り。 17時から別の夏祭り。 18時半から会合。 19時半からは地元の盆踊り。 |