国会報告 その107(2002.8.5発行)

水島広子の活動の様子をお伝えするために、毎週1回(月曜日)発行しております




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国会報告(02.8.4〜8.10)



■8月4日〜8月8日

コロンビア大学の精神科(ニューヨーク州立精神病院)摂食障害専門施設 の視察。
選挙に出馬していなければ私が2000年から留学する予定だった施設で ある。
摂食障害(拒食症、過食症)は、私の専門疾患であるが、日本においては 完全に立ち後れた状況にある。患者数は増えている(はず。日本にはあら ゆる病気について有病率(人口の何パーセントがその病気にかかっている か)のデータがないため、正確には日本の患者数の増減は把握できない。 が、臨床的な感覚として、明らかに患者は増えている)し、「摂食障害予 備軍」のようなダイエットに夢中な若い女性も増えているが、日本の治療 環境はきわめて貧困。私自身、東京で臨床をしていたときには関西の患者 さんまで診ていたが、それほど専門家が乏しい病気である。

政治の世界に入ってからも、地元でしばしば「うちの娘が実は・・・」と 相談を受けるが、自分が継続的な治療を行っていない今、どこに紹介した ら良いかもわからない状況である。そんな中、少しでも自分で治療の方向 性を見いだしていただければ、と、2001年に拙著「『やせ願望』の精 神病理〜摂食障害からのメッセージ」を出版したが、全国の多くの方から 「このような治療を受けられる施設を教えてほしい」という問い合わせを いただくことになった。

日本では、精神科医療者たちの間でも一般に「摂食障害は不治の病」と思 われている。治療には膨大なエネルギーが必要であるため、治療をいやが る医療者も多い。

一方、国際的には、認知行動療法や対人関係療法などを中心として、治療 効果のデータも蓄積され、治療ガイドラインも作られている。決して「不 治の病」ではない。

摂食障害の治療だけのために政治家になったわけではないが、日本におけ る摂食障害の治療環境を抜本的に改善したいという思いは常にある。違う 国に生まれていれば治ったはずの病気を、日本に生まれたからというだけ の理由で延々と引きずり(あるいは質の悪い治療によってかえって病気を こじらせ)、若く前途有望な女性が人生の多くの時を苦痛のうちに使わな ければならないのは大変な不幸である。

当選をした2000年の秋に認知療法や対人関係療法などの精神療法につ いて厚生委員会で質問をしたが、そのときの答弁は「人間関係療法(対人 関係療法のことらしい)については、未だに効果が検証されていないと聞 いております」などという、あまりにも不勉強でふざけたものだった。す でに国際的な治療ガイドラインには載っており、アメリカでは1995年 の消費者ガイドでも支持されているくらいの有名な治療法であるにも関わ らず、だ。これだから日本の医療は良くならないのだと痛感した一件だっ た。

これ以降、委員会でたびたび精神療法について質問してきた。
また、2001年の春には、摂食障害について質問した。大臣(医師出身) の答弁は、「私が医学部で勉強した頃にはなかった病気。今日、質問を受 けると聞いて、いったいこれはどういう病気かと説明を求めたほど、自分 には知識がない」という趣旨のものだった。その日のうちに大臣に拙著を 進呈し、ぜひ前向きに取り組んでほしいと要望した。

その1年後、今年の4月に、厚生労働委員会でまた摂食障害について質問 した。中学卒業から高校3年まで女子学生を追跡した昨年度の厚生科学研 究の結果、拒食症(神経性無食欲症)に該当する極度の体重減少が見られ たのは20人に1人で、4人に1人はその予備軍だったというデータが出 されたところでもあり、事態の深刻さが大臣にも無視できない状況になっ たということもあるだろうが、昨年に比べて明らかに答弁が前進した。治 療・研究・教育が大きく立ち後れた日本で効率的に遅れを取り戻すために は、「あそこに行けば専門的な治療が受けられる」という国立の専門セン ターを作って、患者と治療者を集め、治療・研究・教育を一手に進めてい くことが必要だという私の昨年からの主張に対し、「すでにある国立セン ターの一部を専門的な機能を持ったものにすることは十分考えられる」と いう答弁を得ることができたのだ。

今回の視察は、これを受けたものである。日本に も専門センターを作るため、まずは先進国の専門センターを自ら学んで来 ようと思って計画した。
正味2日間という短い滞在だったが、日頃から共同研究をしており良い友 人でもあるパイク博士の協力により、無駄のない充実した日程を組んでも らった。
(詳細は次号へ)



■8月8日(木)

14時頃成田空港に到着し、渋滞の中、急いで宇都宮へ。夜の盆踊りに参 加。



■8月9日(金)

9時半から事務所内打ち合わせ。
その後、来客やたまった事務連絡。

13時から民主党栃木県第一区総支部幹事会。統一地方選の第一次公認・ 推薦について、が主な議題。

その後、地区あいさつ回り。途中で、田中真紀子さんの議員辞職について 新聞からコメントを求められ、初めて議員辞職を知る。

20時から会合。




■8月10日(土)

8時37分の新幹線で東京へ。

党本部で10時から1年生議員の打ち合わせ。

10時半から、メディアを入れて、菅直人さんへの申し入れ。
国会会期中から一年生議員有志で代表選への取り組み方について議論を重 ねてきたが、ようやく本日の申し入れを迎えた。

代表選については、いろいろな考え方に基づいて行動している人がいるが、 私の考え方を説明させていただきたい。

私は今まで党内の特定のグループには全く所属せず、どんな人とも対等に つきあってきたつもりである。
代表選についても、同じような姿勢を貫こうとしている人もいるが、私の 考え方は違う。これはやはり「選挙」であり、代表を選ぶという作業を通 して自分たちの意思を反映させる機会なのである。

私は日頃から、政治を変えられるのは有権者しかいないと訴えており、陳 情型ではない市民参加型の政治が日本には何よりも求められていると考え ているが、それは代表選についても同じだと思う。候補者に「お願い」さ れて投票して「お任せ」、という姿勢ではいけないと思う。また、「いろ いろなしがらみがあるから・・・」と、不本意な候補者に投票するのもい けないと思う。
自分が民主党の今後(つまり日本の政治の今後)に何を求めるか、そのた めにはどのような代表がふさわしいか、を考え、代表を「選ぶ」と共に自 分も責任を持って参加をして「作っていく」姿勢が必要だと思う。

このような姿勢で参加して初めて、代表選が単なる党の内紛に終わらずに、 政策論争や党運営論争を通して民主党が飛躍する機会になるのだと思う。 日本がこれほどまでに危機的な状況にありながら、いつまでも政権交代を 迎えることができないのは、民主党にも大きな責任があると考えている。 この代表選を通して民主党が市民政党として成長することは喫緊の課題だ と思う。
このような考えに基づいて、以下の文書を菅直人さんに提示し、説明した。

(以下、文書)

 日本の閉塞的・危機的状況を脱するためには、一日も早い政権交代が必 要です。どのような新しい政権を作るか、そして、その政権交代のために は民主党の指導者として何が必要かということについて私たち衆議院一期 生議員有志は議論を重ね、別紙に掲げる7つの姿勢が民主党の代表に必要 であるという結論に達しました。そして、これらの項目を満たす候補者を 代表選において全力で支援していきたいと考えます。
 今日までの活動実績に鑑み、菅直人氏であればこれら7つの姿勢を実現 できると私たちは確信しています。
 菅直人氏が7つの項目全てに賛同をし、一日も早い政権交代に向けて代 表選を戦い抜くことをここに求めます。

                          阿久津 幸彦
                          加藤 公一
                          首藤 信彦
                          長妻 昭
                          平岡 秀夫
                          水島 広子
                          山内 功


(以下、別紙)
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1 【市民政権の実現】
民主党結党時の基本理念に基づき、自民党政権を打破しての政権交代を実 現し、官僚に依存しない政治主導の政権運営を目指す。

2 【実力主義の人事】
党人事(党が決定するあらゆる人事。候補者擁立も含む)は、当選回数至 上主義、旧党派均衡、族議員化を排し、実力主義に徹する。

3 【党議拘束の見直し】
多様な民意が反映されるとともに、議員の責任ある自主性が尊重されるよ う、党議拘束のありかたを見直す。

4 【新人の立候補を後押し】
新人立候補者にも当選のチャンスを広げるため、小選挙区立候補者はすべ て比例名簿順位同列第1位とする。

5 【政策決定プロセスの全面公開】
NCの議事録を原則としてインターネットで全面公開する。

6 【男女共同参画】
党の運営・政策決定の全てに男女共同参画の視点を盛り込み、女性の積極 的登用につとめる。党人事に関して、当面は女性を20%以上、最終的に は40%以上を目標として取り組む。

7 【政治資金の透明性】
党主催の政治資金パーティーを廃止する。企業・団体からの一切の資金提 供を禁止する。全議員の収支をインターネットで公表する。


(以上、文書)

菅直人さんからは「7項目の実現のため全力を尽くします」という署名を いただいた。菅さんも現執行部にいるわけであるから、民主党の現状につ いての責任の一端を担っている。7項目の実現に本気で取り組むつもりが ないのなら、推薦人にはならないつもりで一年生議員有志一同で臨んだが、 結果としては確約が得られた。
代表選における「勝手連」が誕生したことになるが、今後の私たちは、菅 さんが7項目を守る限り全力で応援するとともに、約束が破られたときに はそれを明らかにして責任を追及する義務を負ったことにもなる。

11時24分の新幹線で宇都宮へ。
午後は地区挨拶まわり。

17時半から児童買春・児童ポルノの法見直しに関して来客。

18時からボランティアミーティング。
19時から地元の盆踊り。
その後、ボランティアミーティングに戻り、22時半頃まで、先月のびっ くり市の反省や積もる話をする。




★来週の国会報告はお休みします

カンボジアに視察に出かけることもあり、ボランティアの皆さんにも夏休 みをとっていただこうと思います。
8月26日より通常通り再開します。


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