アメリカ報告2――― グローバル・ヒーリング会議

 新年あけましておめでとうございます。
 米国ではクリスマスがお祝いのハイライトで、新年はそれほどでもありません。クリスマス休暇に親戚を訪問したような人たちも、年末には戻ってくることが多いようです。さすがに1月1日は休みですが、ほとんどは1月3日から通常の活動が始まります。1月2日は休日らしいのですが、アティテューディナル・ヒーリング・センターをはじめ、2日から通常活動を始めるところもあります。

 北カリフォルニアは、雨季の最中で、毎日のように雨が降っています。年末年始は、河の流域を中心に洪水被害も出ました。我が家もようやくケーブルテレビの契約をしたのですが、テレビを見ていると、ピーっとアラームが鳴って、災害放送が入ります。「ベイエリア(サンフランシスコを含む湾岸地域。私が住んでいるところも、ベイエリアに含まれます)の災害報道をするため、番組を中断します」「これこれの地域の人は、何曜日の何時に洪水の危険性があるため、避難をお勧めします。シェルターにはペットは入れません。また、何曜日の何時までは高波の恐れがあり・・・」という具合に、かなり具体的な数字を盛り込んで繰り返し知らせてくれるので、様子がよくわかります。

 アティテューディナル・ヒーリング・センターは、私の到着直後から年末休みになってしまったので、センターそのものの活動はできませんでしたが、創始者ジャンポルスキー博士のおかげで、興味深い方たちに会う機会を持ってまいりました。その中の一人、ウィルフォード・ウェルチ氏から、とてもおもしろい国際会議を教えていただきました。日本人は一人も関わっていないそうなので、皆さまにもぜひお知らせしておこうと思います。

 その国際会議は、「Quest for GLOBAL HEALING II(地球レベルの癒しを求めて 第2回会議)」(以下、ここでは「グローバル・ヒーリング会議」と呼ぶことにします)というものです。

 私がお会いしたウェルチ氏は、米国外交官としてアジアでの長いキャリアを持ち、さらに新聞発行などさまざまな経験を持つユニークな方ですが、私と同じ関心を持つ人としてジャンポルスキー博士が紹介してくださいました。
ウェルチ氏は、「現状が問題だと思ったらまず何か自分でやるべき。誰かのせいにすることは簡単だけれども、それでは何の解決にもならない」という信念に基づき、同じ関心を持つ世界中の人をつなぐ役割を果たしています。彼が共同代表を務める「グローバル・ヒーリング会議」は、2004年に第1回会議が開かれ、本年5月に行われる会議が第2回となります。

 どういう集まりかをご理解いただくために、パンフレットの「お呼びかけ」の部分を以下に訳してみます。

■■■懸念を持った地球市民、ビジネスリーダー、学者、その他の改革者たちとともに、人類がこの地球で、もっと力を合わせて、平和に、持続可能に暮らせる未来を探索する、特別な集まりに参加しませんか? このユニークな集まりは、世界がどの方向に進んでいるのかということを懸念し、解決の力になりたいと思っている人たちのために創られています。「地球レベルの癒しを求めて」は、一歩を踏み出し、世界を変えるためにあなたが何をするかを決めるための機会です。■■■

 ウェルチ氏の言葉を借りれば、「これは普通の会議とはまったく違う。普通の国際会議というのは、参加者はずらりと椅子に座り、演者は、自分はいかに頭が良いかということを示すものだ。そういう会議に出ても、数日間は感動が残るが、数日後には普通の生活に戻ってしまう。われわれの会議は、もっとボトムアップで、完全な参加を求めるものだ」ということです。ただ、この「完全参加」を可能にするために、英語で本格的にコミュニケーションできることが参加条件になっています。日本人がまったくかかわれていない一つの理由がここにあるのではないかと思います。

 第2回会議には、ノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツ大司教(南アフリカの反アパルトヘイト運動家)、ウォルター・クロンカイト氏(「アメリカの良心」とも言われた著名なジャーナリスト。ベトナム戦争撤退のきっかけを作った)、ファティマ・ガイラニ氏(アフガニスタンの著名な女性運動家。訪日経験もあり、日本語ではファタナ・ガイラニと表記されていることが多いようです)を含む、大変魅力的な方たちが演者として参加されます。

 開催地は、バリ島のウブドです。自然と文化・芸術が見事に融合した町で、私も何度も訪れていますが、バリで会議を開くことにも意味があるそうです。バリの人たちは、毎朝、三つの調和を祈るそうですが、一つは、周りの人との調和。二つ目は、自然との調和。そして、三つ目は、スピリチュアルなものとの調和。このため、「バリの豊かな文化が、癒し、許し、(人や自然との)調和を学ばせてくれます」(パンフレットより)ということです。

 こんなすばらしい集まりになぜ日本人が一人もかかわっていないのかという話をしているうちに、またしても情報疎外について考えさせられました。
 政治の場にいても、国際的なニュースは、日本のメディアが報じない限り、日本人はほとんど知ることができません。イラクの問題にしても、郵政にしても、政府の言い分をそのまま報道するメディアからしか情報を収集できない日本人は、まさに洗脳されているのと同じような状態にあります。この問題を何とかしなければならない、と改めて感じます。

 「グローバル・ヒーリング会議」では私自身もワークショップを開催するように、とジャンポルスキー博士から勧めていただいたのですが、現在米国滞在中ということもあり、経済的にも難しそうです。その代わりに、言語の壁を越えて日本人が国際的なネットワークと協調していくための方法を、ウェルチ氏とも相談していきたいと思っています。

 もしも英語が堪能でこの会議に参加してみたいという方がいらっしゃいましたら、ホームページ(http://www.questforglobalhealing.org/index.htm)を訪問していただくか、私にご連絡ください。